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a la carte
たまには 3



「片倉さん、どうしたんで…――」
 何か気に障ることを言ったのかと尋ねようとしたら、視界に肩を震わせている政宗くんが映った。
「何笑ってるんですか、殿」
「ま、政宗さま…!」
 片倉さんは素早く振り向き、 あー、とか、えー、とかしどろもどろだ。
 おぉお!
 さっきの表情もだけど、これはもっとおかしい。
 現に、政宗くんはニヤリと口角を上げてからかいモードになっている。
 私によく向けるその笑みを、今はなんで片倉さんに向けているのかはわからないけど、焦っている片倉さんはもしかしたら初めてかもしれなくて、私は黙ってジーっと二人を見ていた。「―珍しいモンが手に入ったから暁を呼びに行かせたってのに……」
 え? 私?
 口を開いた政宗くんからは私の名前が出てきた。
 ちら、と私を見て、それから意味ありげに目を細める。目線の先は、私の…手――?
「仲睦まじく寄り添って逢瀬を楽しんでるとは思わなかったな。邪魔してわりぃ」
 ――っ!!
 腕を取られて助けられた状態のまま、私の手は片倉さんに添えられてて。
「すっすみませんっ」
「いや、俺のほうこそ…!」
 うわっ、
 うわっっ、
 うー、わーっっ!
 私ってば!
 片倉さんに何してくれてんの〜〜〜っ?
 お互い慌てて身を引いたけど、私はといえば、更に勢いあまってまたバランスを崩した。
「!! ぅわ!」
「危ない!」
 再び体を引き寄せられて。だけど今度は片倉さんの腕の中に納められた。
「あの、そのっ、か・かたっくらさん?」
 何だか抱きしめられてるような錯覚に陥りそうなんですけどっ。
「お前は…ホントに、危なっかしくて目が離せねー」
「っ!!」
 ふわりとした優しい眼差しと目があって、私の体温は一気に上昇したようだった。



「やっぱりこいつら見てっとおもしれ〜」
 真っ赤になって固まる私と片倉さんを見て、その後、政宗くんが対片倉さん対策に私を執務中に呼び付けるようになったのはいうまでもない。




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