a la carte
雨の日(SD/藤真)
雨は嫌いじゃない。
小雨でも、大雨でも。
ぼんやりと見るもよし、音を楽しむのもよし。
マミーには怒られるけど、わざと濡れて帰ることだってある。
だけど…。
「雨の日の体育館だけはヤダ〜!」
ムワンとした空気の中、あたしはずかずかとした足取りで目当ての彼の元へ向かう。
「あれ。どうした、珍しい」
コートの端にいた花形があたしに気付いて寄って来た。
「どうもこうも…。アイツに用があんの」
あたしの視線の先――藤真を確認した花形は、あぁ、と頷き藤真を呼んだ。
「暁ーっ」
藤真はあたしを見るなり駆け出して来て、花形の腰に蹴りを入れた。
「藤真…」
痛みに顔をしかめる花形。すごい勢いだったから、かなりの痛みだろう。
「花形、てめー俺の暁となにイチャついてんだ」
「って、アンタのじゃないし」
思わずツッコミを入れるあたし。けど藤真はそれをスルーして、さらに花形を足蹴にしている。
「藤真」
呼んでみるも、今度はプロレスの技らしいものをかけて、聞きやしない。
「ふーじーまー?」
「ギブ、ギブだっ藤真!」
腕と肩を押さえ込まれ、花形が悶える。
あらら。眼鏡がずれてるよ。――…じゃなくて。
「藤真!」
もう、付き合ってらんない。
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