短編小説 2 「た、たいがいに…しやがれシン…っ! テメー…ふざけんじゃねー………っ」 「ふざけてなんかいないっすよ、オヤッサン」 低く掠れた若者の声が、耳をくすぐる。その間も手が休まることはない。 もう生地が透けるほどグシャグシャだ。 歳が歳だけに、こんなに濡れるとは思わなかった。けれど信士の手管は嫌味なほど巧で、性器はますます膨れ上がる。 快楽の芯が硬く育つ。そのくせ、身体全体は蕩けそうだ。 熱い―――……… 「オレ…ずっと我慢してたんですよ。さっきも…担ぎながら、目の前のオヤッサンの濡れたうなじが美味そうで…ずっと勃ちっぱなしだったっす」 「な、何だと? テメー…! …くぅああっ」 そんな邪なことを考えて神輿を担いでいたのかふざけるなと一喝しようと思えど、上がるのは甘ったるい鼻声ばかりだ。 腰に硬い物が押し付けられる。 腹巻に携帯などを入れる奴も多いから、それかと思ったが、違う。 それは信士の熱く滾った性器だった。 忠明に興奮し、硬く勃起している。褌の生地越しに、信士の脈動が肌に直接響いてくる。 ―――本気なのか? 鼻先が触れ合うほど間近にある信士の顔を、忠明は改めて見やった。 若者らしく日に焼けた精悍な顔立ち。汗に濡れて額に張り付いた、短い黒髪。興奮して上気した頬に潤んだ瞳は、普段からは考えられないほど艶っぽい。 20も年下の男の顔に、目を奪われる。 忠明の視線に気づいた信士は唇の端で嫌らしく笑うと、口付けてきた。 股間をいじられながら、もう片方の手で顎を押さえつけられ、薄く開いた口に舌を挿し込まれる。そのまま舌を舐られて、うなじ辺りにゾクゾクとした戦慄が走る。 「ヤラシイ顔してる…」 うっとりと信士が呟いた。 離れた二つ唇の間に、つかのま唾液の糸が引かれる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |