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短編小説
9
「ふっんんん……っ」



 鳥肌が立った。

 こんな異常事態だが、それでも直接性器を刺激されれば嫌でも煽られる。



 ビクビクと下腹が痙攣した。

 股間に熱が溜まり、しごかれる陰茎はたちまち力を宿して首をもたげる。

 膨らんだ先端から分泌液が滲み、触手が動くたびにいやらしい音がたつ。

 触手はその長い胴体で筒を作り、片桐の勃起を締め付け揉みこみ刺激する。



――なんでこんなことをするんだチクショー!



 強制的に快感を引きずり出されながら、片桐は心中で罵った。

 その間もずっと口中は触手で蹂躙されている。

 規則的といっていいリズムで、滑るその先端が片桐の口に押し入り、そして抜けるのを繰り返している。

 心ならずとも力の抜き方を覚えてしまったのか、苦しさはもうない。それとも麻痺してしまったのか。

 対照的に体の感度が上がってきているようだ。

 筒状になった触手に強弱をつけて擦られて、宙吊りになったままの体に戦慄というには甘いものが走る。

 もう膝近くまでジーンズが引きずりおろされてしまっていて、下半身には触手が大量にたかり特に股間は大変なことになっている。

 グシュグシュと水音が淫靡に響く。暗闇の中を規則的に。

 片桐はようやく気がついた。

 口中を犯す触手の動きと股間をしごく触手の動きが連動していることに。



 なんだかまるで――自分で自分の性器を舐っているようではないか。

 酷く倒錯的だ。

 カッと体の熱が上がった気がした。

 淫欲に呑み込まれる。体が溶けていく。

 それは恐怖でもあり甘美な誘惑でもあった。



 最後にかすかに残った理性が抗えと命じ、片桐は全身をうねらせる。



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