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短編小説
3


 館内は想像していたのよりも明るく、とてもおおらかに性愛に関するアレコレが陳列されている。

 興奮して走り回ろうとする単純なガキどもを力技で回収しつつ、片桐は入館したならばと律儀に見学していた。



「お、センセイ。これ見てよ」



 一足先に土産物コーナーに寄って品物を物色していた浦田が声を上げた。そしてなにやら手にして片桐のところにやってくる。



「ち○こアメだってさ。センセイ舐めてみて」



 浦田が持ってきたのは愛らしい男性器をかたどった棒つきキャンデーだった。

 片桐はみなまで言わせず、キャンデーの先を浦田の鼻の穴に突っ込んだ。先の細くなっている部分が見事にはまって「ふごっ」といっているようだが、知ったことではない。



「そんなもの俺が舐めてどうする。それこそ彼女にでも舐めさせやがれってんだ、脳軽が」



 片桐は微妙に問題発言しつつ、義理は果たしたとばかりに出口に向かった。



「見てくださいよ、先生」



 いつの間にか傍らにいた横坂が指差した先には、小さな祠があった。

 いかにも作り物めいたものだが、その背後にある岩壁は本物のようだ。どうやらこの山の斜面を実際に使っているらしい。



「あのご神体も、ち○こみたいですね。あ、しかもあれ二股に分かれてますよ。新しいですね!」

「……いや、二股でも三股でも関係ねぇから。新しかろうと古かろうと、もう彼女に逃げられた男にゃ意味ねぇから」

「開き直って自虐に走らないでください。聞いているほうが惨めです」

「てめえっ、やっぱり馬鹿にしてんじゃねぇか!」





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あきゅろす。
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