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短編小説
7
「俺は別にどこでもいいけど、藤堂さんはダメなんだ。意外に繊細だな」

「さりげなく失礼な奴だな、てめえは……」



 ギリギリと歯噛みした藤堂だったが、翔一が放してくれた今が絶好のチャンスを逃さずに蛍光灯を新しいものに換える。

 ここに管理人として来たばかりの頃よりも格段に速くなった己の仕事に、藤堂は密かに満足の笑みを漏らす。最初の頃は勝手が分からず、意外に苦労したものだ。

 しかし翔一は批判的に藤堂を見詰めている。



「チンコ出っ放しなんだけど」

「――っ! 先に言え!」



 出来れば壁に頭を打ち付けて死んでしまいたい。

 しかしそんなことは出来るはずもなく、藤堂は羞恥に震えながら己の股間を収めて衣服を整える。



「藤堂さん、涙目だ」

「うるせえ」

「可愛い。…いてっ!」



 今度は翔一が悲鳴を上げる番だ。世迷言をほざく若造の頭を、藤堂は遠慮なく平手で叩いたのだ。



「藤堂さん、痛い」

「馬鹿野郎っ。今度ふざけたことをぬかしやがったら、こんな程度じゃすまさねぇからな!」



 思い切り凄んでみせて、藤堂は踵を返した。手早く脚立と蛍光灯を片付け、小脇に抱えて歩き出す。

 もう翔一に話しかける気にもならなかった。





* * *







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