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短編小説
6
 涙すら滲ませた時だった。

 不意に翔一が口を離した。顔をしかめ、まじまじと藤堂の性器を見詰めている。

 今まで散々口中愛撫されたとはいえ、至近距離で見詰められるのは耐えられない。藤堂は慌てて腰を振った。



「な…何のつもりだ?」



 問い質すつもりで口を開いたのに、すねるような響きになってしまったのは業腹だ。

 しかし翔一は、ひたすら藤堂の股間を凝視している。



「……藤堂さんって、ED?」

「んなわけねえだろ!」



 いきなり心外なことを言われて、藤堂は自分の置かれた状況も忘れて怒声を上げた。

 低くて胴に響く藤堂の声は大抵の相手をびびらせる。しかし翔一は眉一つ動かすことなく、藤堂を見上げてくる。

 翔一は少し唇を尖らせていた。まるで子供みたいな仕草だが、その唇が赤く濡れているところがいやらしい。



「だって、いまいち反応が悪い」



 翔一の声に誘われるように自分の股間を見下ろした藤堂は、ウッと声を詰まらせた。

 指摘されたように、散々刺激されたはずのそれは頭をもたげているどころかぐったりとうなだれている。翔一の手で支えられている状態で、その手が離れたらブラリと垂れ下がってしまうだろう。



「俺のテクがダメなのか……」



 気落ちした声で呟くと、翔一は舌先を尖らせて亀頭を舐めた。

 藤堂は「ひっ」と竦みあがる。



「ば、馬鹿野郎、テクとかそういう問題か! よく見やがれこの状況を!」

「あ、そうか」



 さっきまで口に咥えていた蛍光灯の端で翔一を小突くと、若造はようやくここがどんな場所なのか認識したように辺りを見回した。



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