短編小説 3 だから藤堂は、蛍光灯と脚立を持って翔一の後に続いたのだ。 そのはずが……… 両手は蛍光灯で塞がり、足場の悪い脚立の上。そのうえ腰を押さえ込まれては、抵抗できるはずもない。 いや、彼の言うとおり抵抗しようと思えばできる。いくら右足がまともに動かないとはいえ、こちとら柔剣道の有段者なのだ。 けれど、弟のように思っている翔一を蹴り飛ばすわけにはいかない。 そんな藤堂の葛藤を、翔一はどう取ったのだろうか。 「うをおおおいっ?!」 藤堂は辺りはばからぬ悲鳴をあげた。 翔一がトランクスの前から手を中に入れてきたのだ。 「そんなに大声出して……。もしかして、奥様たちに見られたい?」 「んなわけある――ひぃっ」 こんな姿を見られたら憤死すること必至。 堪らず怒声を上げようとするが、股間に走る強烈な刺激にその声も途切れる。 翔一の手が、じかに藤堂自身に触れる。いや、触れるどころか掴んできた。剛直に指を巻きつけ、形を確かめるかのように全体をなぞっていく。 「うっ…あっ、はぁっ……」 シチュエーションのショックから立ち直ると、次に襲い掛かってきたのはむず痒いような感覚だった。それは翔一が手を動かすたびに大きくなっていき、やがてはっきりとした快感になる。 まずい。とてもまずい。 快楽によって急速に流されていく理性が、断末魔のごとく警告を発する。 こんなところを目撃されたら、まず確実に首が飛ぶ。いや、それよりも先に切腹して果てたい。 脚立の上で身悶えながらそんなことを考えている間も、翔一は動き続けていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |