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短編小説
9
 さっきよりも優しく触られているはずなのに、濡れているからなのか感覚が鋭くなっているようだ。

 滑る舌が乳輪をなぞる。そして立ち上がった乳首を捏ねられて腰がますます震える。

 濡れた布の感触が神経を逆撫でする。



 瀬尾の手が佳克のネクタイにかかった。

 抜かれるのかと思ったが、緩められただけでその手が離れる。

 ネクタイはそのままでシャツのボタンが外された。

 首周りはそのままなのに、シャツの前が開かれる。

 襟が引き攣れ、硬い角が首筋の皮膚を擦ってヒリヒリと痛い。そんな感触まで鮮烈だ。



「部長、胸まで紅くなってますよ」



 瀬尾が喉奥で笑った。



「乳首なんて、真っ赤じゃないですか。小さいのにこんなに硬く立って…やらしいですよ」

「そ、それはお前が…!」

「感じてるのは部長ですから」



 抗議の声を上げようとしても、瀬尾が再び胸に吸い付いてきて喘ぎに変わる。

 布越しとは違う、直接的な感触。もう乳首はグシャグシャに濡れている。その尖りを瀬尾はしつこく嘗め回した。



―――お前は乳飲み子か!



 そうツッコンでやりたい。

 けれど出るのは、自分ですら耳を塞ぎたくなるような甘ったるい喘ぎ声ばかりだ。

 もう濡れているのは乳首だけではない。全身汗にまみれて蛍光灯の光をうけて照っている。

 しかしもっと濡れそぼっている場所があった。

 ジュクジュクと蜜を溢れさせるそこは、さっきからずっと硬く頭をもたげて存在を主張している。

 どんなに佳克が隠そうとしても、下着のみならずスラックスの生地まで色を変えるほど先走りが染み出してしまっているのでは、もう不可能だ。



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