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短編小説
6
「部長、結構積極的ですね」



 瀬尾が朗らかな声を上げた。その視線は佳克の胸元辺りに据えられている。どうやらもがいた拍子に上着がズレ落ちてしまったらしい。薄いシャツに包まれた肩から胸までむき出しになっていた。



「違うっ、これはっ」



 慌てて首を横に振れば、今度はネクタイがずれた。これでは自らストリップしているようなものだ。瀬尾のニヤニヤ笑いが大きくなった。



「そういえば、ここはあまり可愛がって差し上げてなかったですね。寂しかったでしょう」

「おっ、お前の日本語はおかしいっ………ひぃっ!」



 瀬尾の指が胸を這う。

 変な悲鳴が飛び出て、佳克は慌てた。口を押さえたくても両手が拘束されていては出来るはずもない。

 この己の口すらも自分で触れない状況に、佳克は改めて自分が縛り付けられているのだということを完全に理解した。

 ゾッとした。

 目の前で屈み込んでいる端整な顔をした部下が、自分の自由を完全に封じたということに。

 そして、この若い男にいいようにされても抵抗できないということに。

 いくらでも嬲られるがままになるということに。

 そういうことに気づいて、悪寒がした。



 ズクリ…と身体の奥が疼いた。

 昼休みに弄られ、熟んだようになっている尻の窄まりがひくついている。

 早く刺激が欲しいと強請っているかのように。

 己の浅ましい反応を知られたくなくて、佳克は必死になって腰を引いた。少しでも目の前の男から離れたくて。わずかでも逃げたくて。

 だが、本当に逃げたいのかどうか。自分の本心さえ分からない。身体の深い場所から湧き上がる甘い戦慄のせいで理性が掻き回されている。

 しっかりしろ、流されるなと何度も自分に言い聞かせても、長い時間焦らされ続けてきた身体は言うことを聞いてはくれない。少しでも気を抜けば、逃げるどころか男の手にはしたなく股間を擦り付けてしまいそうだ。



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あきゅろす。
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