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短編小説
9


「どうした、カルナ?」

「いや、なんでもない」



 カルナは慌てて向き直り、二人のもとに歩み寄った。

 目元が険しくなったままだったらしい。エドワードは決まり悪そうに咳払いをする。



「今更だが、迷惑だったか? お前、あまり乗り気じゃないみたいだったからな」

「気にするな。決めたのは俺だ」

「悪かった」

「それこそ、今更さ」



 カルナは苦笑すると肩を竦めて見せた。そうしながら、ふと気がついた。ジェシカが、先程のカルナ自身のように闇に視線を向けて眉をひそめていることに。



「ジェシカ?」



 声を掛けると、ジェシカはビクリと身体を跳ねさせた。



「あ、ああ、ごめんなさい? どうかしたの?」

「それはこっちのセリフだ。そっちの方に何か?」



 カルナの問いに、ジェシカは困ったように首を横に振った。



「いいえ…。ただ、何か…そう、何かがいるような、そんな気がしただけ」

「………」



 カルナはジェシカの顔を凝視した。

 ジェシカはまた首を振り、てきぱきとした口調に戻した。



「さ、それより、見てもらいたいのはあっちよ」



 ジェシカが指し示したのは、奥の壁際に置かれたガラスの大きなショーケースだった。



 そこには一体のミイラが安置されている。



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あきゅろす。
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