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Sakura tree

真弓が謝って会いたいと言うと、怜も同じく謝った。

真弓の部屋で小さくなって座る怜に、改めて頭を下げる。

「悪いのは僕です。怜さんが怒るのも当然ですし、悲しませてしまって反省してます」

恐くて震えそうな手を膝の上でぎゅっと握り締め、怜はふるふると首を振った。

「私も、酷い事を……」
「怜さんは何も。謝らないでください」

その手にそっと触れ、逃げないとわかると優しく包んだ。
これだけでも十分な進歩だ。
けれど怜は、ずっと言いたくて我慢していた事を爆発させるので気がそれていた。

「先生は……私のものだもんっ」

ぷぅっとむくれて頬を染め、華奢な指先に力がこもる。
真弓は不意を突かれ反応が遅れた。

「怜さん。……逃げないでくださいね?」

そう言って軽くハグすると、案の定。
怜はびっくりして胸を突っぱねて逃げた。
今はそれでいい。
けれど真弓は冗談混じりにからかって遊んでみた。

「逃げないでって言ったのに。僕は怜さんのものですよ?」

恥ずかしがる怜の反応を楽しんで、羞恥で双眸が潤むと手を繋いだ。





真弓と仲直りした矢先。
悟と壱織、怜姫の兄弟の両親について新聞に記事が出た。
小説家の一栄と、元モデルの李姫。

情報は少し前からつかまれていて、事務所が時期を遅らせてもらっていたのだ。
壱織は舞台があるし、怜姫は写真集の発売が控えている。
どうせ出るならその宣伝になる時期にしてもらったのだ。

記事はワイドショーでも取り上げられ話題になったので、怜は事務所から落ち着くまで真弓と会うのを控えるように言われてしまった。
せっかく仲直りできたのに、また会えなくなる。
落胆したが、怜には沢山の仕事が待っていた。

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