シリーズ・短篇
オマケ
仕事が終わって陽士の部屋に来ていた藤巻は、先日の感動的な告白シーンを興奮気味に話していた。
「本当、感動しましたー!本郷さんの熱くて男らしい告白もそうですけど、月原さんもすごかったんですー。僕、心配してたんですけど、ちゃんと言えたんですよー!よかったぁ、月原さんには幸せになってほしいですから」
頬を上気させ、身振り手振りを加えて説明するのを、陽士は微笑ましく眺めていた。
「やっぱりね?月原さんは可愛いから、絶対成功すると思ってたんですっ。後で聞いたんですけど、本郷さん、月原さんがチワワに見えるらしいですよ?ねー?僕可笑しくって。チワワも合ってますけど、そんなに可愛く思ってたんだなーって」
よかったよかったと繰り返す藤巻に、陽士は成実から聞いたことを話した。
「お前も、成実に『本当はすごく可愛い人だったんだね』って言われてるぞ」
どっちもどっちだ、とにやりと笑う。
「えっ?うそ。うそですよ」
照れて口を尖らせる藤巻は、やはり可愛らしいと陽士は思う。
「もうやめれば?柄にもなく“俺”とか言ってかっこつけんの。似合わねぇよ」
むくれて拗ねた藤巻に手をのばすが、藤巻はその手を避けてそっぽを向いた。
「拗ねんなよ。いいじゃねぇか、事実なんだから。諦めろ。お前は可愛い」
「そうやって…!陽士さんはそう言いますけどね。世間はそう思わないんですっ。振る舞いが幼稚でみっともない、変なヤツだって思われるんですよ。僕は……陽士さんにそう言ってもらえるのは、嬉しいですけど……」
本当に可愛いヤツだ。
陽士はふっと笑って、藤巻の手を掴んで引き寄せた。
「わっ!」
藤巻を抱き締めると、油断する唇を奪ってやった。
うっとりと見上げる視線が絡み、今度は深く口づける。
「陽士さん……」
甘えて腕をのばし、体を寄せてくるのを、抱き寄せてまた口づける。
「あ……陽士さ…っ」
服をはだけられソファーに転がされた藤巻は、見上げた陽士にかっこいい……と見惚れた。
「な?お前は可愛い」
意地悪な笑みと低音の響きにぞくぞくと震えた藤巻は、もうどうでもよくなって腕をのばしていた。
「陽士さん……」
その甘い囁きに負け、陽士は藤巻が欲しいものを与えた。
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