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シリーズ・短篇

「ねぇセシル君」

「はい先生」

「僕これ着なきゃだめかなぁ」

「はい先生」

「……でも…真っ白だよ?」

「はい先生」

「僕こんなの着たら絶対ワインとかこぼしちゃうと思うんだ。だってほら、食べ物とかこぼして君にもよく怒られてるじゃないか。それにパーティーなんて華やかな場は僕には似合わないよ」

「大事なお客様主催のパーティーです。大物物件を購入して頂けるかもしれないんでしょう?」

「そうなんだよねー。あそこは曰く付きどころじゃなくってさぁ。いくらワケあり物件とは言ってもあそこまで大勢住み着いちゃうと中々買い手がつかなくて。さすがにそういうのに鈍感な人でも感じるんだね」

「先生」

「なんだいセシル君」

「先生、トリートメントしてます?」

「…………え?」

「髪です。トリートメント」

「……………髪までいじるの?」

「そのまま行く気だったんですか?」

「切らないよね?」

「切りません。でもトリートメントはします。傷んでるでしょう?ボサボサだし」

「…………」

「逃げてもつかまえますよ。早く上脱いで下さい」

「え?セシル君がするの?今?」

「だって先生逃げますから」

「ねぇセシル君」

「はい先生」

「君、彼女出来ないだろう?」

「今更何を言ってるんですか。先生だって居ないでしょう」

「ごめんね。僕が世話をかけるから」

「はい先生」

「……まあいいや。早いとこ用意して行ってきちゃおう、セシル君」

「はい先生」





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あきゅろす。
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