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Lovely Prince
序言
三方を山に囲まれ、一方は海という地形によって周囲から隔絶した地がある。
陸からも海からも連絡しにくく、長く村落の存在が確認されていなかった。
その環境が渡来した移民の保護、ひいては多民族社会の形成に繋がった。
日本でありながら日本色の薄いこの地に踏み入った人々は、異郷に迷い込んだ隠れ里の伝承として証言を残している。
そこに暮らす人々は皆親切で、とても平和な世界であった、と。

人の往来が容易になったのは、ここ百年二百年のことだ。
人も景色も変化したが、今でも異国風の古い町並が残っている。
伝承で語られる理想郷の様に、豊かで平和な町だ。

その夫婦も、生まれてくる子供の為にこの町へ引っ越した。
小さな庭がある白い家。
お隣の茶色い家の奥さんも同じく妊娠していて、既に男の子が一人いるという事もあり、先輩ママとして交流が始まった。
隣同士の夫婦はそこから親しくなり、同じ病院で生まれた子供が幼稚園に通うようになった頃。二つの家族は旅行の計画を立てた。

週末の連休を利用して温泉に行こう。

そして“その日”は、いつもと変わらぬ速度で訪れた。

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