詩篇 15.朧夜〜ろうや〜 飛散した血塊を取り上げる 音も通じぬ障壁(オリ)に棲む 獣は人(ダレ)も愛せないまま 首輪を掻き毟る血濡れた両腕 醜悪な情想に支配されてる 僕は乱暴な風音を嫌う 言葉は何を異種(ヒト)に伝う 臆病な心根を棘(いばら)に仕舞う 其処には供物しか無いのに 易々と賛同し奪い去ってく 誰かへ別つ術が無いのに 浅い解釈で此の救済を荒らす 深層に潜む状相を 僅か刹那も目に出来ない 衰態を任す絶対を 僅かばかりも保持出来ない 厳重な朧夜(ろうや)に心を放す 溢れる硝子の鱗に溺れる 癒える間も無い裂傷の海 閉塞し続く地下の要塞 [*前へ][次へ#] [戻る] |