その姿に
 その頃、オマラージュの外では、のんびりと9番隊の隊員達がくつろぎながらピゼット達の帰りを待っていた。

「いい加減遅くない? くない?」

 地面にしゃがみ込んでいたニーナが、生えていた雑草をむしり取りながらブツブツと呟く。

「確かに…。何かあったのかしら…?」

 町長一人に話を聞きに行くにしてはだいぶ時間が経っている。シェリンダは腕を組みながら、町の中を見つめた。町からは、凸凹コンビが出てくる気配はない。何かあったのだろうか。目を細めて考えを巡らせながらその場に佇んでいた。

「よ…様子見に行ってみます…か?」

 ハルはそんな2人を見ながら、おどおどと瞳を泳がせつつ尋ねる。相変わらず自信がないようで、背負っているオーラはどこかくらい。ニーナはいっと口を引き結びながら、「じめじめ〜」と悪口を呟いていた。

「いいえ、その必要はないわ。ピゼット隊長とギージットンに限って万が一なんて無いでしょうし、待てと言われたなら待つべきよ。入れ違いになるのが一番面倒だわ」

 シェリンダは小さく首を振ると、まっすぐハルを見ながら言う。

「そ、そうです、ね。僕…すみませんでした…」

 瞳を地に向け、困ったように眉を下げながら唇をかみつつ言う。

「ハルゥ〜。なんでそんな暗いのぉ? 人生の半分は損してるよ絶対」

 あまりのじめじめ具合に、ついに耐えきれなくなったのかニーナは立ち上がった。パンパンとスカートの土を払うと、両手を腰に当ててハルを見る。

「そ、そうです、かね…? すみません…」

 年下のニーナにへこりと頭を下げると、はぁぁぁぁぁあああと長いため息をついた。さらに背負ったダークオーラが濃さを増したようだ。それを見て、ニーナとシェリンダは顔を合わせると、だめだこりゃと言うように首を横に振りため息をつきあった。

「まぁハルの暗さはほっとくことにして、いつまでもここで待機もあきちゃった」

 頭を切り換えたのか、手を空に伸ばし大きくのびをする。思い切り目を閉じたせいか瞳をうっすらと涙目にさせた。

「そうね…。他の人たちも、任務前とは思えないだらけようだし…」

 ニーナの言葉を受けて、シェリンダは自分たちの背後に控える隊員達に目をやる。そこには、テロリストの抗争と言う任務ではないせいか、どことなく気の抜けた空気が流れていた。隊員同士おしゃべりを楽しんだり、体操をしていたり、座り込んで何かをしていたり。とても任務前とは思えない状況だ。

「何か気を引き締めることをしないといけないかもね…」

 隊長にここを任された以上、隊員達のこの状況は自分たちの責任だ。じっと考えを巡らせながら、隊員達を凝視する。その視線に気付いた何人かの隊員達が、慌てて姿勢を正してるのが目に入った。

「かっもねぇ〜。でも、何する?」

 その様子を見てあきれたように鼻から息を吐き出してから、シェリンダへ顔を向ける。自分は会話に入らない方がいいとでも思ったのか、ハルは地面を見て暗い表情をしたまま押し黙ったままだ。
 シェリンダは考え中らしく、曖昧に相づちを打つだけで明確な回答は出してこない。かといって自分も考えるのは嫌だったので、早く戻ってこないかともう一度町の中へ目を向けた。

「あ」

 その時、人影が見えて思わず声を零す。そこには、待ちわびた凸凹な2つの影。ニーナの声に反応して、残りの2人も町へ目を向けた。

「わー隊長待ってたよ〜〜!!」

 ニーナが両手を挙げて手を振ると、小さい方の影が手を振り返してくれる。その声を聞きつけたのか、慌てて姿勢を正し出す隊員達を横目で見て、シェリンダはため息をついた。

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あきゅろす。
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