目指したきっかけ
4年前、シルハの町は暴力団にジャックされていた。この国にはよくそんな事があり、シルハの町もその内の1つ。
しかし、ファンタズマから派遣されたケイル率いる傭兵達が、暴力団を壊滅させてくれたのだ。
その時、シルハは酷くケイルその人に憧れた。
赤以外の色を無くしたような世界に青が揺れた。どんどん世界が広がっていくように色を取り戻して、悲しみの感情を憧れが癒してくれる。
綺麗な青い髪に、黄色の瞳。その瞳が優しくて
驚くほど強くて
そして、誰よりも輝いていて、かっこよくて…
任務を終えたファンタズマの隊員が去る時、シルハはケイルに向かって叫んだ。そして、約束したのだ。
いつか…必ずファンタズマに入隊すると。
「総…部隊長だって! 凄い! 4年前はただの部隊長だったのに!」
興奮してシルハはテルのベッドをバンバンと叩く。布団の埃が舞い、日の光に透かして見えたそれに、テルは口をあんぐりさせてそのヒラヒラと舞う物を見た。
「やめれ! こりゃ! 壊れるだろが!!」
まだ興奮で叩き続ける彼のあまりの勢いに、テルは真面目にビビりながら、舞った埃にむせている。ゲホゲホと咳をしながら、乾いた声で怒鳴りつけた。
「あぁ…ぅん、ゴメン、あぁ…は…早く会いたい…!!」
憧れの人へ会える期待に、シルハの胸はいっぱいになる。目は天井で遮られ、見る事の出来ない空へ向かい、あの美しい青を思い浮かべた。
とろんとした表情に、どうせケイルの事を考えているのだろうと、テルは苦笑いで親友の顔を見つめる。トリップしたシルハを現実に戻すために、ポンとシルハの肩を叩いた。
「よっし! シルハ! 夢への第一歩を踏み出した記念に今日はパーっとやろうぜ!」
親指をグッと立てて、テルはシルハへウインクする。星が飛び散りそうなそのウインクを見て、シルハは満面の笑みをテルに向けた。
「おう!」
今日は盛大に祝おう。
そしてこれからの夢へ期待に胸を膨らまそう。
今日は始まり、夢への第一歩を今ようやく踏み出した。
To be continued...
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