馬鹿笑いと白い目
もう昼過ぎだがまだ日は高くぽかぽかした絶好の散歩日和である。そんな素敵な午後、のんびりと会話を楽しんでいたシルハとナナハが出くわした隊長達は未だに討論を繰り広げていた。
「ピゼ、てめえは男のロマンがわかっちゃいねーよ。巨乳に顔を埋めて窒息する思いをする時に最高の幸せを感じるもんだぜ?抱きしめた時、柔らかい胸が自分の体に当たった時に最高の幸せを感じるもんなんだぜ?わかれよ!!」
「わかんないし!もうセルってば超エロい〜!!だいたい窒息なんてしたくないよ俺!それに胸がでかすぎたら抱きついた時胸が邪魔してその子に思いっきり抱きつけないじゃん!!」
「かぁ〜〜!!だからてめぇは身長が伸びないでいつまでもおこちゃまスタイルなんだよ!思考がおこちゃまだから」
「う、うるさいな!!身長とこれは関係ないだろ!?」
確かに関係ない。シルハはこの下らない討論に冷静にツッコミを入れてしまう。勿論心の中でだ。
「まぁ議論はそこら辺でええやないの、好みなんて人それぞれやし」
いい加減誰かが止めに入らなければならないだろうと思ったのか、2人の間に割っては言ってナナハが話をまとめようとする。しかし興奮した2人は止まらなかった。
「うっせーぞナナハ!!ここは巨乳か微乳か白黒つけなきゃなんねー!男として!!」
「おうともよ!!男として!!」
こんな時だけ意気ぴったり。どうしても白黒をつけたいらしく、セルマの言葉にピゼットが力強く頷いてから、言葉を重ねてシルハとナナハに問いかけた。
「「2人はどっち派だ!!」」
えぇ〜ん!!?
シルハは突然このくっだらない議論を振りかけられて困惑する。はっきりいってかなり迷惑だ。
「ん〜そやな〜。わいはどっちかってーと巨乳派やな。シルりんは?」
「ちょっ!!制止に入ったのになんで話に乗ってるんですか!!だめじゃん!!ミイラ取りがミイラになってるじゃん!!」
お気楽思考で答えたナナハに思わずシルハは手首のスナップをきかせてツッコミを入れてしまった。
しまった…!!
シルハはその途端顔からさーっと血の気が引く。ついつい上司にツッコミを入れてしまった。ヴィクナの時は笑ってすまされたりしたが今回はどうなるかわからない。
自分のこの性質が憎らしい。心の中で自分をののしりながらシルハはおそるおそるナナハの様子を伺った。
「おぉっ!良いツッコミやな。ツッコミッつーんは貴重な人材やで?世の中ボケが溢れとるからな」
怒られるかもしれない。そんな心配をよそにナナハは拍手しながら笑い出す。セルマやピゼットも弾けるように笑い出したので、シルハは何となく微妙な気分になった。怒られずにすんだのは良かったけど、笑いものにされているってのは何となく気分がよい物ではない。
「や!キミいいねん!これからも期待してるよん、ツッコミ!!」
「俺もおめぇのツッコミ楽しみにしてんぜ!!」
「は!!?」
ツッコミを期待されたってかなり困る。バシバシとセルマに背中を叩かれながらシルハは呆然と馬鹿笑いを続ける3人を見つめていた。
要はテンションが高くなりすぎて自分の発言の意味すらあまり理解していないのだろう。腹を抱えながら涙目で笑う男達の中1人シルハはロウテンションに3人を見守っていた。

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