終始ハイテンション
大体近場に揃っていた新入隊員達を全員紹介するのは容易だった。ラグスの紹介にはかなりてこずると思っていたが、7番隊の新入隊員達はみんなテンションが高い。そう無駄に。朝からのハイテンションでラグスの目が点になってるうちに紹介を終えた。テルなんかラグスを見た途端両手でガッチリ握手(強制)をして、ブンブンと上下に振りながら自己紹介をする。間も置かずに他の隊員も自己紹介して、シルハがラグスの名前を教えると、嵐のように去って行った。何が起こったか理解出来なかったラグスの間抜け面は見物だったとシルハは思い出して小さくほくそ笑む。
「レイチェルだよ!よろしくね☆」
「チルデよ」
男子のキャンプと女子のキャンプは少し離れていた為、最後にこの2人を紹介した。可愛い&美人な女の子の登場に、何故か隊員達はウルテを見る。
「…何さ」
「いやぁ〜…お前ももっと女らしかったらぶし!」
怪訝そうな顔をしたウルテにテルが発言をすると、顔面に右ストレートが叩き込まれた。
「女らしく無くて悪かったなゴラ!俺から言わせればテメーも男としてはなよすぎなんだよ!!!」
「ウウウウルテ!!!落ちつくっス!!!」
更に殴りかかろうと腕を振り上げ暴れるウルテを、双子の弟であるヨフテが責任もってしがみついて止める。殴られたテルはピクピクと痙攣しながら地面にぶっ倒れていた。
ウルテ、7番隊新入隊員の紅一点。しかし性格は男勝りでがさつ。口より手足が出るタイプ。
「皆面白いね〜」
「そうかしら…?」
そんな光景を見た2番隊の女子はそれぞれコメントを残した。レイチェルは笑顔だが、チルデはどう見てもドン引きしてる。そんな二人に、シルハは苦笑いを浮かべるしかなかった。
「シルハ!レイチェル、チルデ!」
「シル兄〜!!!」
「ん?あ、ルイ!マーダ!!!」
最早7番隊新入隊員達の暴走を傍観するしか無かった3人の所に、ルイとマーダが駆け寄る。3人は2人の方に向き直った。
「そろそろ出発するみたいだ。こんな所で油売ってないでさっさと車に乗り込むぞ」
「ふくたいちょーさんが早く乗れ!って怒ってたよ?」
その言葉にシルハ達は焦った表情をする。この階級制度の中、バーサーカーな上に、一番の新人である自分達がビリで乗り込むのだけは避けたい。
「テル!もう出発するって!早く行かなきゃ!!!」
「何!?おい皆行くぞ!!!」
地面に倒れていたテルはシルハの言葉にガバリと起き上がる。かなり平然としているところを見ると、ダメージはあったものの、あの痙攣はパフォーマンスだった様だ。テルの言葉に7番隊バーサーカー達も、シルハ達同様焦りの表情を浮かべた。
「じゃ、また後でお会いしましょう!」
「バイバ〜イ」
アテナとクイルゼがそう言いながら手を振ると、他のメンバーも口々に別れの言葉を告げながら帰っていく。
「じゃぁまた後でな、シルハ」
「うん」
テルはそう言って手を振ると、急いで後を追い掛けていった。
「シルハ君!また後でいっぱい話そ!」
最後に残ったヨフテはそう言って笑顔を浮かべると、後ろを向いて「置いてくなんて酷いっス〜!!!」と叫びながらテルの後を追い掛けていった。
「また後でね!!!」
シルハは最後に7番隊新入隊員達に大声で声を掛ける。皆チラリと振り向いて手を振り返してから走り去って行った。
「俺らも急ぐぞ」
「ビリはヤダよね〜」
別れを終えると、ルイとレイチェルに急かされ、5人は急いで車へと向かった。

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あきゅろす。
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