目的は交流
シルハは野営地に張ったテントを片付けると、予想通りに晴れわたった空をみて笑みを浮かべた。霧と夜露で濡れた草花が太陽の光を受けてキラキラと輝く。鼻唄を歌いたいくらい陽気な気分でいると、後ろから声が掛った。
「シルハ〜〜!!!」
「ん?」
自分を呼ぶ声にシルハは後ろを振り向くと、幼馴染みのテルが手を振りながら走ってきた。
「テル!おはよう!!!」
「おっす!一緒の任務なんてドキドキするな〜!」
テルはシルハに駆け寄ると、満面の笑みを浮かべる。シルハも頷きながらにっこりと笑顔を作った。
すると、テルが走ってきた方面からまた人が現れる。6人の人間がゾロゾロと姿を表した。
「テル…!早いっス!」
「先に突っ走るな」
テルとシルハの元にその集団がやって来ると、2人の男が口を開く。その内の一人は知っていたシルハは手を上げて挨拶をした。
「おはようコーズ」
「あぁ、おはよ」
その人物は昨日テルと一緒に居たコーズだ。だが、周りの人間の事を知らずに、シルハは少ししどろもどろした。
「えっと…テル?」
「あぁ、コイツら皆俺と同期のバーサーカー。皆、コイツがシルハだ」
適当にシルハに全員の所在を明かすと、テルはシルハの肩を叩いて紹介をする。シルハは突然の事態に挙動不審になりながら取り合えず頭を下げて挨拶をした。
「シルハです」
「テルから聞いたっスよ!幼馴染みなんスよね。あ、俺ヨフテって言うっス!」
そうシルハに挨拶してきたのは、黄色掛った茶髪を外はねにさせた同い年くらいの少年だ。前髪に星の付いたピンをとめている。
「俺はヨフテの双子の姉のウルテ」
そう横から入って来たのは、ヨフテに良くにた女の子。ただヨフテより髪が少し長く、林檎が付いたピンを前髪に付けていた。
「初めましてシルハさん!僕はアテナって言います」
そう言って握手を求めてきたのは、肩くらいの長さまである黒髪をした少年。シルハより年下であろうまだ幼さの残る顔をしている。大きな目をしたかなり可愛い顔をした男の子で、笑顔はお姉様方を脳殺させそうな物だ。
シルハがアテナと握手を交すと、急にヌッとシルハの目の前に顔が出てきた。
「わぁっ!」
目の前に急に現れた顔に、シルハは後退りしながら驚く。それを見て、7番隊のバーサーカー面々は笑い声を立てた。
「ゴメンね〜。びっくりしたぁ?僕はクイルゼだよ〜」
黒ぶち眼鏡越しの目が何故か見えないクイルゼはのっぺりとした黒髪を垂らしながらにへらっと笑みをつくる。
「よ、よろしく」
かなり奇怪な登場にかなり内心焦りながらシルハは笑顔で対応をした。
「俺はヘサム!一応一番の年長者だ!ただしまだ親父って年じゃないからおじさんって言うのは無しな。よろしく少年」
そう言って手を出してきたので、シルハは手を取って握手を交す。短く切った赤毛に人懐っこそうな笑顔が光る男の人だ。ガッチリとした体がいかにも傭兵的なイメージをかもしだしていた。
全員の紹介が終わると、テルはシルハの肩を押さえて自分の方に体を向けさせる。シルハをガッチリと押さえると、テルは真顔で口を開いた。
「なぁなぁ、シルハの友達も紹介しろよ〜。せっかくなんだし友達作ろうと思ってさ」
そういうと真顔から急に笑顔になる。あぁ、これが目的で全員連れてきたんだなとシルハは思った。
確かに、他の隊の人と交流出来る機会は滅多にない。任務ついでに関係築いちゃおうってわけだ。それに反対の意を唱える必要も無く、シルハは笑顔で頷いた。
「ただ、一人紹介出来る自信無いよ?」
「いいっていいって!取り合えずよろしく☆」
テルの言葉にシルハは頷くと、新入隊員の姿を探し出した。

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