隊分割
しばらく時間が経過した後に、2番隊隊員は次の任務に赴くべく、談話室に集合していた。
アンケルとバーサーカーに別れ、きちんと並んだ列の前にヴィクナは立ち、任務書に目をザッと通す。確認が終わると顔をあげ、隊員達に任務を告げた。
「次の任務はちょっと特殊ね」
腰に手を当てて仁王立ちしながらヴィクナは全員に聞こえる様に声を張り上げる。シルハ達は聞き漏らさない様にしっかりとヴィクナの言葉に耳を傾けた。
「昨日の任務でうちの隊も大分痛手を負った。だから今回はテロリスト討伐ではなく、治安維持の内容だ」
ファンタズマは決してテロリストと戦うだけの集団ではない。国の治安を維持するのも仕事であり、警察みたいな仕事も請け負っている。
「で、今は人員不足が団的に否めないからね。今回は隊を2つに割って2つ任務をこなすよ」
その言葉に隊員達はざわめく。ファンタズマは隊行動が主体であり、隊を2つに割るなど滅多な事では起きないのだ。それほど、今はファンタズマ全体の人員が不足しているのである。
「とりあえず適当に2つに隊を割る。1つはアタシ、もう1つはタルットが指揮をするから」
ヴィクナはそう言うと、くるりとヴィクナの横でまとまっているゲルゼールの方に目を向ける。
「レイアとロットは好きな方を選んでね」
「じゃあ私が隊長と」
「決断早っ!俺の意見は!?」
レイアはその言葉に一人で決断を下し、ロットは自分は蚊帳の外なのに文句を言う。
「文句あるの?ロット」
「…ありません…」
その反発に凄味のある笑みを浮かべながら質問をするレイアにロットは小さくなりながら抵抗を諦めた。
「てかそんなに俺とじゃ嫌?」
軽くってか凄くショックを受けながら言ったタルットの台詞にロットは慌てて振り返り弁明を始める。ヴィクナはそんな事はお構い無しに隊員達の方に向き直ると、仕切り直しをするために隊を2つに割った。
「じゃぁ列の半分から前はタルットに着いてって。残りはアタシとおいで」
THE・適当。力配分とか何も考えずに超アバウトに隊を分割すると、ヴィクナは満足そうににっこり笑った。
「と、言うことだ。前の奴らはこっちへ来い」
タルットは直ぐに分割された自分の隊へ指示を出し、談話室の左端に集める。シルハ達を含める残りは自然に右側へ集まり、ヴィクナは自分が受け持つ任務内容を発表した。
「今回はさっきも言ったけど治安維持任務ね。戦場は小さな村の側にある広大な森だよ」
そう言うとヴィクナはにかっと笑みを作る。
「討伐せしは暗く深い森に済む悪魔」

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