魔力の色
「まずは君の能力(ちから)について教えてもらおうかな」
ケイルも別に椅子を引っ張り出すとマーダと向かい合う様に席につく。マーダは大きな目をまるくさせ、首を傾げた。
「ちから?」
何それ?と言わんばかりに目を見開く。
「君の殺人魔法の事さ」
ケイルは優しい笑みを浮かべながらマーダの質問に答えた。
「あ、あれはね、特殊魔法なんだって。僕の魔法の性質らしいよぉ。僕のは特別なんだって」
そう聞くとマーダはペラペラと喋り出す。その言葉の一片も聞き漏らすまいとしてるのか、ケイルはマーダを真っ直ぐ見つめ、黙って話を聞いていた。
「僕の魔法は魔獣結合"ジャンク=アディットビースト"って言うらしいよぉ」
マーダは歯を見せてにっこり笑う。聞き慣れない魔法の名前にケイルは一瞬顔を歪めたが、直ぐに納得した様に小さく頷いた。
「確に…君の魔力の色は特殊だな…」
「「色?」」
その単語にシルハとマーダは同時に尋ねる。
「魔力の色ってのはあくまで例え。魔力の性質の事ね」
その疑問に直ぐ様ヴィクナが答えた。
「その産まれ持った魔力の性質によって得意魔法なんかが異なってくるんだよ」
「つまり、この子の魔力の性質は人より特殊と言うことだ」
ヴィクナとケイルの説明にへぇ〜っと納得し声を漏らしす。2人が同じ行動をとるため、おかしくなってヴィクナはコロコロと声を出して笑った。
「色の判別は…パルスが得意だったな…」
「うん。パルス…居るの?」
ヴィクナとケイルの間で交されるやりとりをシルハとマーダはただ傍観する。そのパルスと言う人や、タピスの様に特異な魔法を操れる人がいたり、ファンタズマには芸達者が多いのかとシルハは感心した。
「あぁ。今12番隊は壊滅に近いからな。人員を補充するまでは此処周辺で待機だ。直ぐに来るさ」
ケイルはそういうと机の上に置いてある鳥形の置物の頭を軽く押す。すると鳥の嘴が開き、ピロロロ〜っと美しい声で鳴いた。
すると、廊下からコツコツとヒールの音が響いてきて、コンコンっとドアが鳴る。
「イリーナです。お呼びでしょうか?」
「あぁ、パルスに今すぐ来るように鳩を送ってくれ」
「かしこまりました」
ケイルはドア越しの女性に用を頼むと、女性はまたヒールの音を立てて遠ざかって行った。
「あ〜ぁあ完璧眼鏡ぇ〜。顔くらい見せりゃいいのに。無駄嫌いよね〜」
ヴィクナは顔も見せなかったその人に口を尖らせてブチブチと呟く。ケイルはその様子を見て苦笑いをした。
「とにかく。君についてはパルスって人が到着してからだ。少し待っててね」
ケイルはそれからマーダの方に向き直るとマーダの肩に手を置いた。
「?うん」
いまいち意味が分かっていないマーダはそれでもとりあえずは元気に返事をする。緊張感の無くなった部屋で椅子が高く床に届かない足をブラブラさせながらマーダは暇を潰すためにキョロキョロと辺りを見回していた。

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あきゅろす。
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