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shortversiondream
それは夕焼け色の空で

短編オリジナルです。

ロイさん落ち。

ロイさんの階級が准将。あなた様の階級が大尉。

軍人さんです。












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「マスタング准将!」
「やぁ、クリス大尉。どうしたんだい?」
「ホークアイ大尉がさがしていましたよ。またサボったって」

たまたま彼を見つけてそう言う。
彼は少しやつれたような顔をしている。

「お仕事、忙しいんですか?」
「ん。まぁね」

から笑いをする准将を見て、胸が痛くなる。
彼が大佐から准将へ上がった時。辺りからの期待が強かった。それにこたえるように准将は常に仕事を行ってきた。しかしサボっていることは多々あった。
でも、それも仕方がないのでは、と思うほど大変そうであった。
イシュヴァールの政策。南の方の内乱。何かの秘密事項の処理。その他のことも含めていくと、本当に多忙だったのではと思う。

「准将。大丈夫なんですか?やつれてますよ」
「あぁ、大丈夫だ。少し抜け出してくる元気はある」
「ということはあまり元気がないのでは?栄養剤でも飲みますか?」

そう言うと、准将はハハハッと笑って、もらおうかと手を出してきた。そのときに少し黒髪が揺れた。

「はい。サプリメント大丈夫ですか?」
「ん、大丈夫だ。ビタミン剤を持っていたかい?一粒頂こう」
「えぇ、どうぞ。あぁ、ついでに飴なんかも」

私はポケットにある飴をサプリと一緒に渡した。

「ありがとう。クリス」
「全然いいですよ。そんなこと」

笑って、ミネラルウォーターも渡す。

「ほらほら、もう夕方になりますよ。早く飲んで少し休んで。いい加減戻らなければホークアイ大尉に発砲されますよ」

あの音は軍部全体に響くんですよ、と笑って私はホークアイ大尉が准将に怒る姿を想像した。

「そういえば、ハボック少尉って彼女いるんですよね。金髪のきれいな女の人」
「ん?そうなのか」
「えぇ、そうみたいですよ。この間言ってました。それで、女って何喜ぶんだとか言ってましたよ。私は気持ちさえもらえれば、というより一緒にいられるだけでいいんですけどね」

クスクスと笑って、あの必死なハボック少尉の顔を思い出した。

今回の彼女さんはいろいろとおとなしい方だそうで、よくもない。なので何がいいかわからなくなったんだよ。とか言っていたような気がする。

「……ほぅ。そうか…一緒にいるだけで、ねぇ」
「えぇ。ほら、私たちって結局軍の狗でしょう?でも、ほんのひと欠片くらい…いいえ。本当に小さな小さな幸せくらいなら望みたいんです。まぁ、幸せになっていいのかなんてわからないですけどね」

人殺しの私たちには。

其の言葉だけ、本当に小さな小さな声で呟いて、空を見た。

「きれいな。夕焼けですね…」
「あぁ。きれいな夕焼けだな」
「…この空を見て、きれいだなって言えるくらいの幸せならば、神様から頂いたって…罰は当たりませんよね…」
「……あぁ、神だってそれくらい。許してくれるさ」

まぁ、私は信じてなどないがな。

彼はそう言って、笑った。

「きれいな、…夕焼けです…ね」
「そうだな。きれいな夕焼けだ」

いつの間にか、涙がこぼれていた。



         それは夕焼け色の空で

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あきゅろす。
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