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◆モンハンdos☆旅の記録◆
悲劇の再会
「・・・・・!?」
何者かの声に警戒しながらアーサーは辺りを見回し、声の主を探す。

「・・・まさか・・・この声は・・・・・・・」
オルカはその声の主に動揺を隠せない様子で声を震わせ、暗闇に動く人影を見つめた。

暗闇から現れたその人影は、一人の青年だった。
褐色の肌で髪は白銀色。瞳の色はグリーンで青いギルドガードの制服を着ていた。
姿もそうだが、どことなく雰囲気がオルカに似ているように見えた。
それもそのはず。その答えはその後すぐにわかった。

「やっと会えた・・・オルカ」
青年はオルカを懐かしく、そして優しい眼で見つめながらゆっくりと近づいてきた。

「あ・・・兄上・・・死んだと思っていたのに・・・本当に兄上なのか・・・!?」
信じられない様子でオルカは青年を見ていたが、やがて青年の優しい声を聴き、
記憶の糸を辿りながら兄を思い出していく。

青年はオルカに微笑んだあと、くるりとアーサーの方を向いて話し掛けた。
「お久し振りです・・・アーサー殿」

「・・・・・?」
アーサーは頭の中で誰なのか必死で思い出そうとしているが全然わからないでいる。
「あの・・・人違いじゃ・・・?あなたも同じギルドガードのようだが・・・どこかでお会いしましたっけ?
すまないが誰なのかわからないよ」

「ふふ・・・無理もありませんね。私はいつもアイルーフェイクをかぶっていましたから。私はゲイナーですよ。
でも・・・私は元ギルドの人間だったのでそれでこの名前も偽っていますが・・・。私の本当の名前はナーワルと言います」

おだやかな口調でゆっくりと話すその姿は、以前のゲイナーとは違う雰囲気を漂わせていた。

「・・・そうだったのか・・・それでお前にも腕にギルドの紋章があったって訳か・・・」
今まで一緒にいたオルカとゲイナーが兄妹で、二人とも自分と関わりがあったという偶然が重なって
少々驚いたが、全ての謎が解けてアーサーは納得した。

ナーワルは再びオルカの方に向き直り、呆然と立ち尽くしているオルカに手を伸ばして優しく抱きしめた。
突然のことにオルカは驚き、気恥ずかしくなったが、兄の匂いが懐かしく子供の頃を思い出しながら
甘い感触と匂いに溶けてしまいそうな感覚を覚えた。

「オルカ・・・迎えが遅くなってすまなかった。私と一緒に帰ろう・・・お前はココにいてはいけないんだ。そして昔のように兄妹仲良く暮らそう」

ナーワルはオルカの黒髪を梳くように優しく撫ぜおろしながらそう囁いた。オルカは一瞬戸惑ったが、すぐに我に返り、ナーワルを突き放した。


「兄上・・・すまないがそれは出来ない・・・。
そこをどいてくれないか。私はその男を殺さないといけない」
ナーワルの不安な顔をよそに、オルカは再び任務に戻った。
冷めた視線でアーサーに銃口を向ける。
ギルドに長く仕えたせいか、上からの命令は絶対服従。与えられた任務だけを確実にこなす事を頭に叩き込まれた
機械のような人間になってしまった妹を見て、ナーワルは自分のせいだとひどく自分を責め、心を痛めた。

「やめろオルカ!目を覚ませ!!お前はギルドに操られているだけだ!
この人は私の大事な仲間だ・・・お前に人殺しなんてさせたくない!私はそれをやめさせるために
再びギルドに戻ってお前を連れて逃げようと迎えに来たんだ」
そう言ってオルカの前に立ち、説得させようとした。

「いくら兄上の頼みでも・・・任務を中断させる事は出来ない・・・
いや、我々ギルドガードは・・・任務を確実にこなさないとならない。今度こそ消えてもらうぞアーサー!」
オルカは引き金に力を入れアーサー目掛けて発砲した。
「やめろ!!!」
それと同時にナーワルが叫び、アーサーの前に飛び出した。

「・・・・・!!!」

「うっ・・・!!」

オルカの放った弾丸がナーワルの身体を貫いた。腹部から大量の血が流れ、ナーワルは血を吐いてその場に崩れた。

「・・・!!兄上!!!」

「ナーワル!!」

オルカとアーサーは崩れるナーワルに駆け寄り、止血を試みるが血はどんどんあふれ出てくるばかりで大した効果は見られなかった。
応急処置なので一刻も早く手当てをしないといけないと思い、アーサーはナーワルを抱きかかえて連れて行こうとしたその時、
ナーワルはそれを止めた。

「ありがとう・・・もう・・・いいんです・・・・・」
苦痛に顔を歪ませながら絞るような声でナーワルはアーサーに言った。

「なにを言っているんだ!急げば間に合う!あきらめるな!!」

「オルカ・・・最後に言っておく・・・」

「私はここにいる・・・!」
弱々しく伸ばすナーワルの手をしっかりと握り締め、オルカは応えた。


「オルカはここにいてはいけない・・・これからこの大老殿で恐ろしい事が始まろうとしている・・・
早くドンドルマを出てくれ・・・。遠くの町へ逃げるんだ・・・。
最後の頼みだ・・・私が守ってやらなければならないのに・・・守ることができなくてすまない・・・
アーサー殿・・・オルカをここから連れ出してくれ・・・頼みます・・・・・・」

咳き込みながら口から血を流し、再び腹部から血が流れ出した。

「兄上・・・!しっかりしろ!!せっかく会えたのに・・・!」

薄れ行く意識の中でオルカの声が聞こえる。ナーワルは最後オルカに微笑み、二人に見守られながらそっと息をひきとった。

「・・・!うぁぁあああぁあぁ・・・!!!兄上・・・!逝くなー!」
兄の最後を看取ったオルカはその場に崩れ、声を上げて泣き出した。あの冷静なオルカが取り乱すほど兄の死は衝撃的な事実だった。




兄、ナーワルの亡骸を抱きしめながら悲しみの涙を流すオルカを静かに見守るアーサー。
そしてしばらくしてオルカは落ち着きを取り戻したのか、涙を拭きながらアーサーに問いかけた。

「兄上も・・・同じ事を言っていたが・・・ドンドルマが大変な事になると・・・
前に地下室で見た建造物・・・あれが何か関係があるのか?」

「そのようだな・・・。実はオレも半信半疑だったんだ。指名手配されていたシバという男に会ってな。
そいつからあの機械の設計図を見せられて、本当に作られているかどうかを確かめに来たんだ」

「もしその建造物が人間に危害を加えるようなモノだったら・・・・・」

そこまでアーサーが言うとオルカは立ち上がり、

「大長老様に真実を聞きに行く!!」

「待て、一人で行くのは危険だ。オレも一緒に行く」

「いや、お前は兄上を頼む・・・」
アーサーが止めるのも聞かず、オルカは大長老のいる部屋へと足を向けて走って行った。

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