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◆モンハンdos☆旅の記録◆
小さな救世主
カオリとトラチーは女同士のお喋りに花を咲かせながら、楽しくピッケルを振るう。
好きな男性のタイプは〜?など、狩猟中のハンターとは思えない内容であった。
しかし、草を踏む時のごく小さな足音が二人の耳に意識しなくても入ってきていた。やはりハンターなのである。
二人は掘るのをやめ、耳を澄ます・・・・茂みの向こうに、ケルビやモスなんかよりも大きな何かの気配を感じた。
しばらく様子を探っていると、少し離れた場所でガサガサと木々が揺れているのが見えた。

「・・・!?レイア・・・??」
身構える二人。そしてその生き物が正体を現した。濃い赤色の身体が緑の中によく目立つ。その生き物はイャンクックだ。
しかも小ぶりである。イャンクックはゆっくりと歩き、キョロキョロしながら辺りを見回している。

「まだ大人になりきれてないのかな?小さいね」
カオリが茂みに隠れながらトラチーに小声で言った。

「めんこいですねww 連れて帰りたいですww」
「確かにwww あの何かを探す仕草がなんともww」
二人は隠れてクックの様子を見つめていた。

すると二人の気配を感じ取ったのかクックがこちらに近づいて来る。
「え・・・!」
「ありゃ!見付かっちゃった!?」
二人は慌てて逃げようときびすを返した。
しかしクックは翼をバタバタさせながら追いかけてくる。

「ぎゃー!追いつかれる!!」
その時、大きな火球が背後から通り過ぎた。
「・・・!!??」
また火球が飛んできた。スピードのある大きな火球はクックが吐いた火球ではないのがすぐにわかった。
どんどん飛んでくる火球はカオリたちを狙っていないのがわかる。
狙われているのは先ほどのイャンクックのようだ。後ろを振り向くとリオレイアが連続で火球を吐いているのが見えた。
クックは小さな身体で必死に避けている。そして翼をはばたかせると空に舞い上がった。

リオレイアはそれを逃すまいとクックを追いかけて飛び立った。
みるみるうちに追いつかれるクック。
大きな∞の字の軌道が空中で何度かぶつかったとき、
クックはきりもみ状態で地面に叩き落とされてしまった。

衝撃で体液を吐き出すクック。もがきながらもなんとか立ち上がって体勢を整えた。
レイアは上空から鋭い爪でクックに狙いを定め、一気に急降下し始めた。

「なんだかクックがかわいそう・・・助けようか・・・!?」
カオリは見ていられなくなり、出て行こうとしたがトラチーはそれを止めた。

「わたしにまかせて!それに、ムスカさんたちにも知らせないと!」
そう言うとトラチーは、リオレイアとクックの間に閃光玉を投げつけた。急に視界を奪われ、落下するレイア。クックもフラフラしている。


地面でもがくレイアにペイントボールをぶつけ、合図用に打ち上げ式の爆弾を数発発射した。
周囲の状況を理解したリオレイアは、今度はクックから二人に標的を変え咆哮をあげながら突進してきた。

「うわっ!来たよ!!」
二人は慌てて茂みから広い場所に飛び出て体勢を整え大剣を構えた。
すると横からさっきの小さなクックが鳴きながら走り、リオレイアの横腹に体当たりをお見舞いした。

「・・・え!」

小さな身体で体当たりをしても、残念なことにリオレイアの怒りを買うだけの成果しか得られなかった。
リオレイアはまず、この小さな獲物を片付けようと考えたのか、クックをにらみつけたと思うと
すぐに大きな口でクックを捉えた。強い力で噛み付かれてクックは悲痛の鳴き声をあげる。
リオレイアは血液で赤く染まった口をはなすと、
今度は頭を狙って噛み付こうとする。だがクックも力を振り絞って逃げる。
しかし大きな耳を噛まれてしまい、オモチャの様に振り回されて、
とうとうそのまま引きちぎられてしまった。
クックの悲鳴があたりに響く。
再び地面に投げ出されたクックは血溜まりの中でクワァーーー・・・と弱々しくだが、
迫ってくるリオレイアに向かって必死に鳴いている。

「もうやめて!!こんな小さいのに・・・必死で戦って・・・!もういいよ!おチビちゃん!!」
カオリは叫びながらクックの前に立ち、護るように大剣をリオレイアに振りかざした。
「今度は私が相手するよ!!かかってこい!!」

「か・・・カオリさん!!無茶しないで!」
トラチーはカオリの行動に驚きながらも自分も加勢しようと後ろでひかえている。

リオレイアは低くうなりながら攻撃の態勢に入った。
(来るか!)
リオレイアは咆哮をあげて地面を掴んだその時、
空から無数のイャンクックが現れ、リオレイアの周りを囲み降りてきた。
どこから来たのか・・・チビクックの鳴き声を聞き、駆けつけたのかもしれない。
囲まれたリオレイアは一瞬ひるんだが、すぐに攻撃をしかけようと首をもたげた。
1頭のクックが1度鳴き、他のクックたちが一斉にリオレイアに攻撃した。
バタバタと翼をはばたかせながら走り、火を吐き、大きなクチバシでリオレイアをつついて攻撃する。
その数の多さにさすがのリオレイアも追いつかず、近くのクックを尻尾で払うと
空に舞い上がり、消えていった。

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あきゅろす。
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