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missing!
休息なんてありません。
side瑞稀



バタンっと風紀委員会室の扉を閉めた。


はーマジ怖かったマジ怖かったマジ怖かった!

確かに後半の委員長はなんか優しげで大人っぽいオーラ漂ってたけどな!

な、なんつーの…?お、おっかねぇんだよあの委員長!!

初対面の時のあのオーラは半端ねえし!

一緒にいたパソコン王子君もなんか読めない奴だったし!



それにしてもすげぇよあたし…!!再び生死の境地から生きて帰った…!!

もうこれはある意味伝説だな。

俺様王子に矢をうたれ生還し、魔王と対面し生きて帰ってきた。

やべーあたしもう勇者の道まっしぐらだな!!

…てか編入初日になにやってんだあたし。

これから亜稀探さなきゃなんねぇし、職員室行かなきゃなんねぇし。

もー疲れがたまってんだよコノヤロー!

早く寮行って寝たい。

いってなかったが瑞稀と亜稀は寮生だ。
この高校は全寮制ではないが、遠くから通う人も多いため、その人たちのために校内に寮がある。

そこに瑞稀と亜稀は入ることになっているのである。




「はぁーっ授業ついてけるかなとか以前に卒業まで生きていけるか不安だな…。」

とぼとぼと目的もなく見知らぬ校内の廊下を歩く瑞稀。

その瑞稀に近寄る黒い影

タッタッタッタ





タッ



ドオオン!


「ぐはっ」


背中に衝撃が。


あれーなんかこの展開見たことありません?


「おいおいそこの君っなーにシケた顔してんのかなーっ!?今のため息で幸せ1年分は逃げていっちゃったよー??元気出せよあーんちゃーん!!」


このうざいテンションと可愛らしい声、そして後ろから苦しいくらいきつく首をしめるこのかんじは


「お前が原因だっつーの!」



やっぱり亜稀様でした。

亜稀は相変わらず天使の微笑みで瑞稀の首をしめている。


瑞稀が首に回された腕を外そうともがくと「照れんなってー」とか意味不明な言葉を発しながら首をしめるのはやめてくれたが、
瑞稀の背中からのしかかるようにして瑞稀に抱きつくような体勢は崩すつもりはないようだ。

うっとおしくて瑞稀は

「抱きつくな!おーもーいー」

と対抗するが、亜稀はきにもとめずに抱きつきを強めるだけだった。

「瑞稀充電中ー。」

うわさらにうーざーいー


「瑞稀、もう勝手に一人でどっかいっちゃダメだよー?」

「おめーが勝手にどっかいったんじゃねーか!」

あたしは何もしてねぇよ!
何その感じ!めっちゃ腹立つ!

はぁもう亜稀に何言っても無駄だったなそういえば。

あたしが亜稀の自由でプライスレスな所に悩まされている今でもにっこにこな笑顔であたしにへばりついてるんだもんな!


もう色々と諦めた瑞稀は亜稀にずっと気になっていた事をきいてみた。


「でー、さっきまで亜稀はなにやってたんだよ。」

「えーとねー

かくかくでー

しかじかだったんだよ!」

えへへっと笑う亜稀。

「伝わるか!」

めんどくさいからって省くな!

火事場の馬鹿力で亜稀の腕の中から脱出した瑞稀。




「えーとねーなんやかんやでー」

うん。あんま変わってねぇな。


「生徒会補佐に誘われた!」

…あぁそういえばさっきあたし亜稀と間違われて生徒会長補佐に任命されたんだったな。

…いつの間にか生徒会補佐に変わってるみたいだけどな。


「んで?なんて返したの?」


「瑞稀も一緒ならなるーって」



「あーそっかーちゃんとあたしのことも考えてくれてたんだなー



ってアホかぁぁああ!」

いらん気遣い炸裂じゃボケぇぇえ!!

「え?なにいっそ嫌がらせ!?反抗期なの!?この子ォオオオ!?」

そんな事いっちまったら生徒会から絶対入れよ的なオーラ向けられるだろ!
本気でこられたら平凡なあたしが断れるわけなくて生徒会に入れられる。→厄介ごと多発。

絶対嫌だ!

平凡女子でもやるときゃやるんだからな!絶対断ってやる!

生徒会なんかにあたしの高校生活壊されてたまるかよ!


瑞稀が亜稀の存在もわすれ、静かに燃えていると






タタタタ


「亜稀!」

「亜稀ちゃーん、走るの速いっスよー」

何処かで聞き覚えのある声が2つ。

「な゙!?」

あたしの記憶が正しければ、1人は今朝の入学式のゴタゴタを静めた姐御ってかんじの…確か副会長だったか。

あともうひとりは…誰だっけ?

亜稀並みにちっちゃくてショートカットでほんわかーな声だ。

でもこの流れ的に生徒会関係者だろうな。

亜稀もーまた大物つれて来やがって!
しかもめっちゃ息切れしてるしな!
もしかして

「亜稀また勝手に一人で皆からはぐれたんだろ!!少しは学習しろっつーの!今まではなんてことなかったけどいつ何があるか分かんないんだからな!それに亜稀を探す方の身にもなってみろ!ハラハラすんだよコンチクショー!」


もちろん!亜稀がなんか変な厄介ごと引っ掛けてこないかとか超不運なあたしが亜稀が居ない間に変な事件に巻き込まれないかとか!そーいう意味でのハラハラだけどなもちろん!


亜稀のためにここはビシイっと亜稀にいっておかなければと思って亜稀を叱った。…決してこれまでの亜稀へのイライラをぶつけたわけでなくてですよ?


ななななんですかその疑いの眼差しは!byナレーター


「ごめんなさい…。今度から気を付けます…。」

いきなりしゅんとした亜稀。

瑞稀にはしょんぼりしたワンコに見える。

いやいや、いくらワンコに見えるからってゆるしちゃいけないぞあたし。

「亜ー《ジーと亜稀にみつめられる》…っくそっ」

耳としっぽが垂れ下がって
捨てられた子犬と亜稀が被る。

…いかんいかん。こんなことで許してたら亜稀は成長しないぞ脳ミソ幼稚園児のままだ。

耐えろ、耐えるんだ自分!!

「瑞稀…ごめん。何回目だって感じだよね…呆れちゃう…よ…ね。」



くぅーん




プチっ(瑞稀の中のなにかが切れた)


「▲○◆△■×ー!」

たりらりったりー


瑞稀は新しい自分を見つけた!



(何のことか分からない人は3ページ参照だ!byナレーター)

「つーかそこのお二人さん?」

「私達の事忘れてないっスか?」

呆れたような声に振り向けば亜稀を追い掛けてきたらしい2人が居りました。






「ごめんね二人とも!勝手に走って行っちゃって!私の瑞稀レーダーが反応してさ!」

あっはははーやっちゃった!

と頭をポリポリかく亜稀。



何だソレは

時を経るごとに亜稀の身体の仕組みはなぞだらけになってゆく。

「亜稀、心配したんだよ?」

心配した顔もかっこいい素敵な副会長凜様。

「でも亜稀ちゃんが無事でよかったっス!」

笑顔で心底よかったねー!オーラをだしている元気な可愛らしい女の子。

そして「ごめんねー」と謝りながら心配してくれてありがと!
と無邪気な笑顔を2人に返す。亜稀。



まっ眩しっ!!

何このオーラ!眩しすぎる!!
あの3人の周りだけキラキラ星とか飛んでて別世界だしな!


うっわぁどーしよあたしだけ浮いてんな!

いづれぇ。


ん?

無理にここにいる必要なんてないんじゃね?

この二人生徒会関係者だよなおそらく!
あたしは生徒会に入らないと決めたんだ。
この場に長居してたら危険だよな。

よし。


「お邪魔でしたー!」

レッツ逃亡
逃げるが勝ちだ!



瑞稀は3人が新しい世界を作っているうちに、3人に背を向けて走りだした。








ガシッ

「ぐぇ」

あーまた変な声出た!つーかまた首根っこつかまれた!

え!?なにこれ最近の流行り!?

今この場でこんなことする奴はあいつしかいない!!

瑞稀はジタバタしながら後ろを

「ぎゃぁあなにすんだ亜…ってわぁあぁすいませんすいません間違えましたぁぁああ!」

振り向けば副会長様☆


副会長は一旦驚いた顔をしたが、何を思ったかそのまま掴んだ首根っこをグイッと瑞稀の真上に上げた。

なんだか先生に叱られている男子生徒みたいだと瑞稀は思った。

瑞稀の身長は163センチとそこそこだが、副会長の凜はその上をいっていたようで、170センチはあるのではないかと思われる。

軽く首をしめられ、自然と顔は俯くので後ろにいる凛の様子はうかがえない。

パニックな瑞稀は凜が怒っているのだと判断した!!

「申し訳ありませんでしたぁぁああ!そんなに怒ると思わなくてっ許してくださいぃぃい!ポッキーだけは!ポッキーでや(殺)るのだけはどうかご勘弁をぉぉお!」

きっと今の瑞稀の気持ちは米澤や委員長に土下座した時と同じだろう。

副会長凜はポッキーで不良を倒したという伝説を持つらしいからあたしも殺られる!
と本能が感じたのだ。


つーかあたし今日謝ってばっかじゃね!?

野生の勘やら本能やら反応しすぎだっつーの!


瑞稀の思考が色々な所に飛びかっていたとき、

後ろで凜がふっと笑ったのを感じた。

そして小さい声で

「あーなんか米澤の気持ち分かるかも。」

と呟いた。

しかし凜の近くにいた瑞稀にはしっかりと耳に届いていた。


えぇ!?米澤の気持ちが分かるって!?副会長さんは米澤があたしの首根っこ掴んでるの見てたのか!!

しかも米澤の気持ちってもしかして副会長さんも米澤と同じであたしを風紀を乱すからって処理しようぜ的な!?


恐ろしい想像が頭を駆け巡りギュっと目を瞑ると
首根っこを放されたのがわかった。


おそるおそる目をあけると、目の前にはポッキーが。




えぇ!?

死刑判決ですか!?


しかしポッキーを持つ副会長は

「そんなに謝ることないのに。ポッキーいる?」

そういって笑っていた。


ポッキーいる?って…殺られたい?って聞いてるわけじゃないよね、うん。

もしかしてあたしがポッキーと連呼してたからポッキー欲しがってるかと勘違いしたのか?


それに副会長さんはポッキー常備なのか。


色々と瑞稀が推理を組み立てていると真横から本日三度目の衝撃が。


ドンっ



ガシィっ

「瑞稀のバカぁぁあ!この浮気者!あの日誓った約束は忘れたの!?他の子といちゃいちゃするなんて!この泥棒猫!!」

えぇえええ?!

すると突然凜と一緒にいたちっちゃい女の子がでてきた。

「カーットカット!っス。
亜稀ちゃんだめっスよ!こういう時には『私は貴方を愛しているのに』的なアピールがなきゃ!
それに泥棒猫は瑞稀ちゃんにいうべきではないっス。この場合は凜ちゃんにかける言葉っスからね!







…あーあとなんかあったっスかね?


…あぁそうだ、亜稀ちゃん今抱きついてるの瑞稀ちゃんじゃなくて














サッカーボールっス」




「間違えんなよ!」



しかもなんで注意するの忘れてたんだよ!何故についででどーでもよさげ!?

まず一番に注意すべきところだろ!幼稚園児にだって分かる間違い探しじゃボケェェ!



ちなみに瑞稀は亜稀に吹っ飛ばされて転がっていた。

床が固くて痛い。


つかなんでナチュラルに校内の廊下にサッカーボールが転がってんだよ。



「あっ本当だごめーん似てるから気付かなかったー。」


おまえ今気付いたのかよ!

ぜんっぜん似てないだろ!大きさも形もなにもかも!
抱きついたときにきづけやぁぁあ!

しかし、瑞稀と亜稀以外のお二方は、「あぁーわかるわかる」とか「そーそー!あたしも一瞬わからなかったくらいだから大丈夫っスよ!」とか言って瑞稀を慰めている。


え!何々皆さんわかっちゃうのかよ!
まわりから見てあたしの存在って何?
サッカーボールにみえちゃったりするのか?!


「ちょっとまったぁぁぁあ!」


瑞稀はこのまま進んでいって欲しくない展開にストップをかけた。

すると瑞稀の声に反応して3人が振り返る。

「瑞稀!安心して!」



「「「重いジョーク(っス)だよ」」」




ふざけんじゃねぇぇ!!





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