missing!
まだ入学式前なんすけど。
春です!桜です!
入学式です!!
「おっきーね!!」
ここに大きな目をきらっきらさせてこれからあたしたちが通うこととなった四葉坂高校の校舎を見ている美少女が一名。
…実は双子の姉だったりする。
名前は水嶋亜稀。
なめらかなウェーブの茶色がかった天然の長い髪。
そんな髪が似合う整った顔は歩くフランス人形のようで通りすぎる人はみな振り向いてしまうであろう美少女だ。
でも本人は天然無自覚だから危なっかしくてしょうがない。
「だね。まぁ結構なマンモス校らしいし。」
応えたあたしは水嶋瑞稀。
双子の妹。
でもまったく似てなくて顔は普通。
地毛の髪質は亜稀とおなじだったけど茶色がかった髪は黒く染めててショートヘアーだ。
運動も勉強も人並み。
姉の異常な天然により、ちょっとはしっかり成長したかもしれない。
あの天然姉にどれだけ振り回されたことか…。
と瑞稀が物思いにふけっていると
ドォーン!
「ぐはっ」
背中に衝撃が。
「みぃーずぅーきぃー!?きいてるの!?
…っそんなっ…貴方にとって私の存在はそんなものだったの!?
もうあの頃には戻れないの!?
愛は消えてしまったの!?」
声だけきいてたら女優顔負けの名演技。しかし
「人の首しめながら言うセリフじゃねぇだろ!」
おっそろしいことに亜稀はあたしに抱きつく形で首に腕をまきつけギリギリと締め付けながらその台詞をはいたのだ。
「そして更にキツくしめんな!!」
突然ですがあたしには現在大きな悩みがあります。
それは
亜稀が最近
「いやーぁ、瑞稀の顔見たらなんだか虐めたくなっちゃってね?」てへっはぁと。
S心に目覚めたことです。
しかもあたしオンリー!
昔は…純粋無垢な可愛らしい天然さんだったのにー!
守ってあげたくなる感じでスッゴい可愛かったのにー!
今はSなのに天然とかいうやっかいな子に…泣
うーぜーえー!
「なあにが『てへっ』だよ!笑顔でおっそろしーこといってんじゃねぇ!…つか人前でそんなこというなよ!」
あたしがいじられキャラみたくなるじゃんか!
「やだなーもー。瑞稀ったら嫉妬?安心してっ瑞稀以外の人にはSっ気起こらないから!瑞稀が特別だよ?」
男なら誰もが恋してしまいそうなものっそい笑顔であたしの頭をなでくりまわしながら
可愛いなー瑞稀は。とかそんなにお姉ちゃんに構って欲しかったの?だとか…
ゔあ゙ぁ゙ぁ゙!
超絶迷惑な勘違いキター!何も不安要素解決してねぇ。つかそんな事気にしてねぇ!
いやもう亜稀に理解してもらおうとしたあたしがばかだったのか!?
「ふっざっけんじゃねー!それほどいらない特別扱いはねーよ!なんにも安心じゃねぇ!あたしがいってんのはあたしな対するS的発言をやめ「無理。」…は?」
「水嶋瑞稀を虐め隊書記ですもの」ウフっ
と亜稀が可愛らしくいう。本人はふざけてるつもりなのだろうが、もともと美少女な彼女は何をやっても可愛い。
被害にあった男も数知れず。
無自覚って恐ろしい!
…つーか
「いつの間にそんなものが!?しかも書記って微妙!!」
「いま作ったもん♪」
ウインクして親指を突き出してきた。
「今かよ」
なんか突っ込むのも疲れてきた。
ん?
なんか大事な事忘れてるような…?
「そういえば入学式何時からだっけ?」
…
…
あ゙ぁぁああああ!
時間を見ると八時半。
集合時刻は八時半。
9時から入学式である。
ぎゃあああ!
「初日から遅刻!?とっとととととにかく落ち着いて!」
ヤバイヤバイどうしよう!
するとふぅ…と亜稀はため息。
そして言った。
「瑞稀がね。」
『ディラン・マイケルだ』とでも言いだしそうな表情とポーズで。
いまの超顔むかつく!
「亜稀もあたしと同じ立場なんだよ?!あんたは何のんびりしてんだ!ちょっとは慌てろ!」
「落ち着けだとか慌てろだとか…どっちだよ(フッ)」
あっくそ亜稀にそんな顔されるなんて!
突っ込みは的確だけど!腹立つ!!
いやいや落ち着けあたし、今はあいつに構ってる場合じゃないんだ。
さっさと地図広げて体育館に行かなくちゃ。
たぶんもう教室いったりしてる時間無いだろうからな。
先生には後で事情を…
つーかあたしがこんなに考えてるのに亜稀なに無邪気に小鳥さんと戯れてるんだ!
くそっ美人はなにやっても絵になるな!
いかんいかんそんな事考えてる暇はないあいつはただの見た目高校生の幼稚園児、相手にしてもしょうがない幼稚園児、しがないただのようちえん…ハッ
「亜稀ー今から地図出すからちょっとまってて。家でも言ったけど亜稀は絶対迷子になるから小鳥と遊んでてもいいけど絶対勝手にどっか行ったりしないでね。」
家で何度も念を押したから大丈夫だと思うけど脳みそ幼稚園児には念には念を入れて言っとかなくては。
…
…ガサゴソガサゴソ
…
ゴソゴソと地図を地図を取り出している間も返事がない。
まさかと思って顔をあげると
「誰もいねぇぇぇえ!」
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