missing!
恐怖のお時間
デデデーン
と
そびえ立つ扉には風紀の2文字。
そう、ここは風紀委員会室前☆
「帰りてぇぇー!!」
「何バカなこと言ってるんですか。貴方が逝かなくて誰が逝くんですか。」
行くの字が違ぇよ!!
米澤はまだあたしの襟を掴んだままでこの状況かはから逃れるのは難しいようだ。
「つーか男らしくさっさと行っちまえよ。」
千秋は扉の隣の壁によりかかって腕を組んで面倒くさそうに言った。
「お前には絶対言われたくないんですけど!お前が行けよ元凶がぁあ!!」
なんじゃその俺待ってやってるんだ的な態度は!
ちなみにあたしは女じゃぁああ!
「つーかやっぱおかしくね?!あたしめっちゃ関係ないだろ!米澤が机に置いて、千秋が勘違いして食べた。で!あたしは何!?ただの通りすがりの少女Aとかだろ!?
なんで少女Aがおまえらの罪被んなきゃならねーんだよ!」
千秋にはあたしの必死な抵抗も全然効いてないようで、
「花子だからに決まってんだろ。」
文句あんのかあ゙ぁ゙ん?
と千秋が瑞稀にガンをとばす。
不良モード全開である。
普通の人なら怯えて黙って従ってしまうのだろう。
しかぁし!ワンコモードを見てしまった瑞稀には効かなかった!!
「決まってねーよ!何の理由にもなってねぇ!全国の花子さんに謝れや!つーかあたしは花子じゃないって何回言ったら分かるんじゃぁああ!」
だんだん瑞稀がヒートアップしてきた。
すると米澤はにこりと穏やかな笑みを浮かべた。
「そんなわけないじゃないですか。私達は貴方を信じてるからです」
襟を掴んでいた手を放し、瑞稀と向かい合い、瑞稀の両手を下から包み込むようにして優しく握り、にっこりと微笑んだ。
「え…」
どきん…
「貴方なら出来るって信じてますから。」
米澤の整った顔が今までで一番瑞稀に近づいた。
「…米澤…。
…うん。あたしやってみる!
ってんなわけねーだ「さぁ行きますよ」ちょっとぉおお!」
長いノリにようやく突っ込もうとした瞬間!
米澤は優しく握っていたはずの手で瑞稀の手首をわしづかみ、瑞稀を扉の方へ向けさせた。
変な小芝居させやがってぇえ!ノっちまったじゃねーか!
まだ心の準備出来て無いんだっつーの!
ドキがムネムネだぜー!(軽くパニック)
瑞稀が混乱状態き陥っているのなんて全く意に介さずな様子で、
米澤は扉を叩いた。
トントン
「失礼します。」
ガチャ
扉があき、風紀委員会室の中が見えた。
風紀委員会室は理科室くらいの広さで、でかいテーブル、ソファー、パソコンが置いてある机、冷蔵庫、資料棚、その他モロモロ沢山の物がおいてあった。
家具のデザインも統一されていて、どっかの一軒家の一室のようだった。
ソファーに一人、パソコンをいじっていたであろう人ひとり、合計2人が風紀委員会室にいて、
扉が開く音に反応してこちらを向いた。
パソコンをいじっている人はまたまた王子様フェイス。甘い顔だが桐生と違って目がキリリと真面目なかんじでへらへらしておらず、眼鏡を掛けていて、茶色がかった髪は癖毛なのかあらゆる方向に跳ねまくっている。
それすらも良く見えてしまうのは顔が良いからなんだろうな。
ソファーで資料をみていた人は、生徒会長級の美形さんであった。
黒髪でストレートの髪をワックスでいじっている。
でも彼がワックスをつけていてもチャラチャラした雰囲気は無くて、むしろ自然なかんじだ。
生徒会長と同じ黒髪で足長な彼からは俺さまなオーラは全然無い。
というより、
彼が現在発しているオーラはそんな生易しいものではなかった。
殺傷力百パーセントの何だこれ、魔王オーラ!?
このオーラが充満しているこの部屋では恐ろしくて身体が強ばって動かない!
きっとこの部屋にいた害虫なんかはこのオーラを浴びて亡きものになっているだろう。
名付けて!
ここは委員長の虫コロリゾーン!!
ってテンションを無駄に上げても現状はかわらないわけで、
「委員長様…あの」
米澤が何とか喋ろうとしている。
すげぇ米澤…。委員長ゾーン内で言葉を発せるなんてな…!
しかし米澤の言葉を冷たい声が遮った。
「俺をそうよぶって事は、自分が何したことをわかってるみたいだな。
…太平洋に沈む覚悟は出来たか?」
おそらく委員長様の冷たい声。
そして冷たい瞳がするどく米澤を見る。
隣で米澤が固まったのが分かった。
ひっいぃぃいい!
めっちゃ、めっちゃめちゃこえーっすよ!
あの米澤までも魔王には適わないのか!!
つーかあたしなんか怖すぎて指一本うごかねぇんですが!?
すると早くこの状況から逃れたいというように千秋が早口で言った。
「プリンハマチガッテコイツガタベマシタデスガ「ですが!!」」
早口というよりカタコトである。
まだ何か言おうとしている千秋にかぶせるようにして米澤が話す。
「彼女は転入したばかりで何も知らなかったので悪気は「わかった。もう今日は帰っていいよ。」」
温かみの無い声が米澤の言葉を遮る。
これには米澤も千秋も逆らえず、
「「はいぃいい!」」
これまでに見たこともなく元気に2人は返事をして、勢い良く扉を開けた
おまえら!本当に行っちまうのか!
この状況で!?
2人に言ってやりたいことはたくさんあったが、如何せん此処は委員長ゾーンの中。
身体をちょっとでも動かすのですら困難なのに大声で2人を呼び止めるなんてことはあたしには不可能だった。
「智尋、千秋。明日は早めに風紀委員会室にくるほうが良いかもな。」
出ていこうとした2人がビクッと固まった。
「…手が滑って仕事量の分担間違えちゃうかも知れないからな。」
にっこり笑顔。
目が笑ってない目が笑ってない!!
「「はっはいぃぃい!」」
2人は再び元気の良い返事をして
バタン
委員長様様様(以下略)の目があたしに向けられた。
ピコーン!
あたしの生命の危機レーダーが作動した!!
「すみませんでしたぁぁあああ!何でもしますから太平洋はやめてくださいぃぃぃいい!せめて琵琶湖とかで!!」
そう!あたしがしたのはモチロン土下座!
あたしのプライドなんてずったずたさ!泣
さっきまでは指一本動かせなかったのが、火事場のバカ力なのか慣れなのかなんなのか、千秋と米澤が去ってからなぜか少し身体を動かせるようになっていた。
シーン
静まり返る風紀委員会室。
土下座したままの瑞稀には周りの様子が分からない。
なんか言ってくれよ!
あたしの台詞で静まったらなんか気まずいんだよ!
瑞稀の中はあの偶然自分の言葉で話すネタがつきて、暫し沈黙がおこってしまったときの何ともいえない気まずさで一杯である。
トン…トン…と内ばきズックが床に土下座中の瑞稀に近づく
トン
あたしの目の前で足が止まったのが分かった。
影がかかり、誰かがあたしを見下ろすように立っているのがわかり、反射的に身体がビクッとなった。
その時、少し遠くから初めて聞く声が聞こえた。
「先輩、もう止めたら。その子ビクビクしてるし。
まぁそれも面白いけど。」
うん、少年、前半の言葉はほんっと、感謝感激だけどな!
「おいちょっと待ったぁぁああ!最後の一言が余計だよ!
一瞬感謝してしまったあたしの気持ちを返せえぇぇえ!」
今までたまりにたまっていた瑞稀のツッコミが今、さっき初めて口を開いたパソコンをいじっていた少年にむけて大爆発を起こした。
しかし、突っ込んだ瞬間、やってまったことの重大さに瑞稀の顔は真っ青に。
その瑞稀の奇行のすべてを見ていた男2人は
「ぷっあはははははは」
「ぷっくくくっ」
笑いだしてしまいました。
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