[携帯モード] [URL送信]

missing!
トラウマになりそうな入○式。
さっきの偉そうなイケ面君よりもちょっと高めの楽しそうな声。


シーンとした空気をぶっ壊した声の主に体育館中の視線が降り注がれた。


声の主はステージの上、偉そうなイケ面君の隣に立っていた美少年。


肩につくかつかないかの男にしては長めサラサラの髪。


甘い顔ははまさに王子様ルック。





え、なんですかイケメン☆天国かなんかですか。

ここの高校には顔のいい男子しかはいれないんですか。


慌てて周りを見回すとチラホラかっこいい人がいるが、普通の人とか…ヲタ…まぁそういう人も結構いるみたいでなんだ普通じゃんかとほっとした。




王子君のは未だケラケラ笑っている。

なんだか亜稀と同じ雰囲気を感じる…。

無邪気に人をからかうタイプに違いない!

もれなく王子君はあたしの脳内ブラックリスト第一号に登録された。


「あはっ君っ面白いねー!名前何ていうの?」


王子くんがステージを降りて亜稀の元にやってきた。


まぁ、亜稀はA組だったので体育館の最前列にいたのだが。





あぁ…。また亜稀かやっかいそうなのに気に入られてるし!

今後の学園生活が不安でならない!!

てか亜稀に今あたしの存在がばれたらなんかややこしいことになるよな絶対。

見つかりませんように。





「水嶋亜稀ですよー。先輩ってからからいがいがありますよねー♪」

お前はバカかぁああ!

先輩相手だろ!

目付けられたりしたら大変なんだぞ!


「あっははは!わかるわかる!さっきのビックリした顔とか超ウケるよね」


わぁーお。王子君の隣から不穏な空気がすると思えば、偉そうなイケ面君が般若の如く王子君と亜稀を睨んでいた。





つーかお前もいつの間にかステージ降りてるのな。




「…おい。お前ら、俺をからかうとはいい度胸だな。覚悟は出来てんだろうな?」

うむ。顔がいいと迫力満点だな。



てぇえええ!めちゃめちゃ怒ってんじゃねーか!

絶対亜稀覚悟なんか出来てないな!

だって今だって

「いやぁ〜そんなこと無いですよー。あでも肝試しとか結構大丈夫なんで度胸はちょっとはあるかも知れませんねー。」

照れるじゃないですかー。


ととんちんかんな事を何故か頬を染めるというこの状況に不釣り合いな表情で頭をかきながら言ったのだ。


知ってたけどな!

お前がそんな奴だってな!

でもコレは無いだろ!

しかぁーし!ここにて亜稀マジックが発動した!

亜稀のとんちんかんな会話の中のどこにときめきポイントを発見したのか、
偉そう男は般若のようだった顔を崩し、ふっと笑って

「…ほんとにお前は…」

って本当に愛しいという微笑みを亜稀にむけるもんだから



キャー!

偉そう男のメロメロビームにやられた人が多数いらっしゃるようなのです。


イケ面君、貴方の胸きゅんポイントがわかりません。




男子は男子で「あの子超かわいくね?」「もろタイプなんだけど。」
とか亜稀を狙うぜ発言が多発。


よーするに騒ついててめっちゃ煩い。






あれ?


なーんだかあたしの周りひんやりした空気になった気がし無くもなくなくない?。




でも周りは相変わらず騒がしいままだし気のせいなのか?



うん、隣にいる米澤君なんか全く関係なんてないよな!



そんな事を考えてる間にもはなしは進む。



「何二人の世界作ろうとしてるのかなー。俺も仲間にいれてよ。蓮夜が気に入った子ってどんな子かと思えば、なかなか気が合いそうだね♪」

「そうですね」

あたしたちきがあいそうですね

そう微笑み会う美男美女。

すごい絵になる美しい光景だ。

王子様とお姫様のようなキラキラとしたムードを醸し出している。


それにプラスオプションで隣に不機嫌な俺様王子様がいらっしゃるってなもんで、




キャー!



全校生徒の大半は大興奮、超フィーバーなのである。


しかし皆さん思い出して頂きたい。


あたしたちは何で体育館にいるのでしょう?










入学式だよ!




TPO守れやコノヤローなのである!






ゴゴゴゴゴゴゴゴ…




聞き覚えのある地響きがきこえ、反射的に隣を見やると


笑顔の素敵な米澤様が冷凍トルネードを背後に従えておりました。

「先輩方、申し訳ないのですが今は入学式中なので話の続きは式の後にお願いします。」


にぃーっこり。


怖い、怖すぎる!!


しかしよくぞ言った米澤!

お前が真の救世主だ!ヒーローだ!



軽くトラウマになりそうな米澤の声に今度はあたし達3人に全校の皆様の視線が集結!!


あぁもうやめてくれ。あたしは目立ったりするタイプじゃないんだよ。


「…風紀委員か。」


「ごめんねー。」


と偉そう男と王子くん。結構あっさりなんだな。

まぁ米澤が切れたのが効いたんだろう。


全校生徒の視線からのがれようと、扉から外へ出ようとしたあたしの後ろ襟足を米澤がつかむ。


「ぐぇっ」


わーなんか変な声でた!


いやなんだっつの!

全校生徒の前で目立つのなんて!!


察しろよコラ!


って全校生徒…?てことは

「あーっ瑞稀ー!?」

「ぎゃぁあああ!亜稀ぃいいい!?
やっぱりな!やっぱりバレたじゃねーかどーしてくれんだ米澤このコノヤロー一瞬でも救世主だとおもったのは撤回させてもらおう!!」


あたしは逃げようともがくが、米澤はあたしの襟をがっしりと掴んだままだ。


そして、とどめの一言。

「全部口にでてますよ」

「うそぉぉおお!いつからだぁああ!つーか気付いてたら教えろよ!あたしどんだけ痛い子!?何これいじめ!?」

「いまさらだろ」

「まじでか!!」


千秋コノヤロー!あたしがいじめられてんのいまさらだと!?


「ふ「ふざけないで!」…?」


この可愛らしく凛とした声は



「亜稀!?」


亜稀は千秋&米澤とあたしの間にちっさい体でめいっぱいあたしを守るように立ちふさがり、
2人を睨み付けた。


…無自覚に上目遣いになっているのは気のせいでしょうか。


「瑞稀をいじめるなんて許さないんだから!」

…千秋が顔を真っ赤にしているのは気のせいでしょうか。



亜稀の無自覚行動には呆れたが、
しかし!あたしは亜稀の行動に感動した!

いつもあたしをからかいまくってるからこんな状況も楽しんで見てるだけかと思ったよ。

いや申し訳ない!


有り難う、亜稀…!!


とあたしが胸いっぱいに亜稀への感謝の想いを膨らませていると、

「瑞稀をいじめていいのはあたしだけなの!」


ん?

いやいやいやちょいと亜稀さん。


何をいっちゃってるんだい?


「どうしても瑞稀をいじめたいのならあたしを倒してからにしな!」

なんだかノリノリである。


てオイ!

「違うだろ!なんかもう色々と!その台詞の使い方すら間違ってる!つーか誰からもいじめられたくねーよ!」

あたしはマゾなんかじゃねぇよ!


「いいのよそんな細かいことは!」

「いやよくないよくない!大事なことだろ!あたしの人権無視ですか!?」


「お…まえ…に人権な…てあるわけね…だ…ろ…」

バターン!

長時間の亜稀の上目遣いビームに耐えられなくなった千秋がダウン。

「千秋からの最期の遺言です。大切に受け取ってやって下さい。」

米澤神妙な面持ちで言った。

「受け取れるかぁあ!こんな史上最悪な遺言!!」

不愉快極まりないな。


あたしが千秋を放置することを心に決めると

しばらく大人しかったあの男の声が。


「…お前が水嶋瑞稀か…。」


偉そう男のもんのっ凄い敵対心丸出しのあっつうい視線があたしを突き刺す。


え?あたしなんかしたっけ!?
何でこんなに敵視されてんの!?
てかそこの王子くん!

さっきからずっと笑ってないでなんとかしろよこの状況!


王子くんは俺関係ねーしー♪みたいな顔でケラケラ笑ってこの状況を楽しんでいるのである。


そのころの蓮夜は
間違えて亜稀を瑞稀と呼んでしまった事、
そしてその瑞稀という人間が平凡で、例のあの亜稀とのキスを邪魔した変なブザーを亜稀に渡した、敵視していた亜稀の妹である事、
亜稀に妹より突っ込みが劣っていると言われた事、
色々な事がまじりあって、

つまりは全ての原因は亜稀であり、瑞稀はとばっちりを受けているのだが、


「お前…ぶっ潰す。」

という物騒な結論に至ったのである。





わーんどうしよう編入初日から初対面の人から公開いじめ宣言されちゃったよ。




ておい!


「「いー加減にしろや!」」


あれ?と瑞稀は首を傾げる。

偶然かうまいことハモってしまった声は、初めて聞く声、女性の声だったからである。


顔は見えない。しかしその代わりにマイクのスピーカーから大音量で声が流れてくる。


その女性はかなり怒っているのか、勢いを落とさず一気にまくしたてた。

「あんたらいつまでグダクダやってんだよ!時間押してんだよ。あとからじじいらにグダグダ説教くらうなんざ御免だね。もう時間無いから手短に挨拶してさっさと帰ってきな!」

「ちっ」

「あらー、凛ちゃんキレちゃったねー。」

どうやら偉そう男と王子くんの知り合いらしい。


てかこの二人今更だけどなにもんなんだろうな。…まぁ大体予想はできてるけど。


「まず私から挨拶させてもらうよ。」



スタスタと一人の女性がステージの中心に立ち、ステージ上の台の上にあったマイクを取り上げ、染めた金髪をくるくるに巻いた長い髪をかきあげた。

[*前へ][次へ#]

6/15ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!