■恐怖の日の前日
なんだかおかしい、
ここ最近、ゆいが寝る時にもお兄ちゃんの部屋からいつも声が聞こえる。
兄はなんだかいつも苦しんでいるようで、定期的に部屋から声が聞こえる。
もしかして兄は誕生日前で、どこかおかしくなろうとしているのかもしれない。
ゆいは兄がだんだんと怖くなってゆき、時々祐太くんに相談するようになった。
祐太くんはゆいの友達の中で唯一、兄の秘密を知っている子だ。
もしかしたら、これからどうなるのかわかるかもしれない。
兄は苦しんでいることをゆいに内緒にしているようなので、ゆいも気づいていないような素振りをする。
お誕生日の前日に、兄に内緒で祐太くんに相談すると、「うーん、俺もあんまり覚えてないんだけど、たしかに唸っていた、にいにはいたかも…」っという。
「祐太くんのお兄ちゃんはどうして唸ってたかわかる??」っと聞くと、「わからない…でもその時のにいにはすごく凶暴だったかも…」っと言うと、しばらく思い出そうと考えた後に「でもそのにいに達はもっとおっきい子ばかりで俺達くらいの歳のにいに達は大人しかったんだけどな…」っと不思議そうにしている。
「そうなの?じゃあ8歳になるから苦しんでるわけじゃないんだ…」っというと、「うん、絶対違うと思う!」っと祐太は答えた。
「部屋から声が聞こえてるの知られたくないから、それじゃあお兄ちゃんには秘密ね! 」っというと、「わかったー!」っと祐太は言い、祐太くんと別れた。
その時だった。
中途半端に聞いてしまった兄が、今までとは別人のように怒り、瞳を赤く光らせては怒鳴り散らし、ゆいにいきなり襲いかかってきた。
はじめて、力で兄に負けるようになった瞬間だった。
兄に足を踏みつけられると、強烈な痛みが襲われる。
それでも兄に我に帰って欲しくて叫びつづけた。
すると、だんだんと怒りが落ち着いてきたのか、痛そうにしているゆいを見るなり今度は、不安になったのか走り去っていった。
追いかけようと、ゆいが足をあげようとするが上がらない。
恐怖のせいかと思ったが足が非常に痛い。
ゆいは誰かが来てくれるのを待つ事しかできなかった。
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