■味方
帰りの会が早めに終わり、俺はゆいと一緒に帰るために、ゆいの教室の前へ歩いた。
まだ他のクラスは会の途中なようで、廊下には自分のクラスメイトしかいなかった。
すると教室を出るタイミングがたまたま、ほとんどおなじだった男の子グループが、俺の後ろを歩きながら「ゆうー!」っとひとりが声をかけてきた。
その子は俺と名前が近く、裕太という男の子でクラスで1番よくしゃべる子だった。
俺はどうしてもその子が苦手だったので無視をしていると、「ねー!ねー!おまえみたいなの"しすこん"っていうんだってー!」っとヘラヘラと笑っている。
それでも俺は無視をして歩いていると、「こいつほんとへんだよなー!」と別の男子が言い、「ぜったいいもうとのほうもへんなやつだよー!」っと裕太は友達と話している。
「違うよ!」っと、ゆいの話しになると俺は反応してしまい、裕太のほうへと振り返った。
すると「うわー いもうとのことになるとはんのうするよー!」「きもちわるー!」っと次々と暴言を吐いてくる。
「やめてよぉ」っと俺が瞳を隠すようにしゃがんで泣き出すと、男子3人で俺の髪をつかんでは叩いたり蹴ったりして俺をひたすら馬鹿にする。
俺はその痛みにひたすら耐えた。
そんな時だった。
「ちょっとやめなさい!」
初めて誰かが声をかけてくれた。
誰なのかは目を開けず、見えないがなんとなく声でちょっとずつ思い出してきた。
「ちえー、かえろーぜー!」っとまったく反省してない様子の裕太とその他の男子は、その声を聞いては帰っていった。
「大丈夫?ゆうさん?」
優しく声かける主は、ゆいのクラスの担任の先生だった。
「ひぐっ、ひぐっ」っとまだ泣いたまま落ち着くことが出来ない俺の頭を優しく撫でると、「かわいそうに、あの子達にいじめられてたのね」っと声をかけると俺の手首を触り、「歩ける…?」っと問いかける。
俺は縦に小さく頷くが、まだ視界が赤く、目を開くことが出来ずにいた。
先生は俺の手を繋ぎ、自分の教室に近づくと「ゆいさん、こっちにこれる??」っと教室からゆいを呼び出そうとする。
俺はそれを聞き、慌てて首を横にふるが「私はゆいさんに頼まれて来たのよ、だから大丈夫」っと俺の頭を撫でた。
俺は必死に隠していたが、どうやらゆいはすぐに気づいていたらしい。
ただ、隠している俺はすぐ逃げ出してしまうので、大人である担任の先生にたのんだのだろう。
「おにーちゃん?」
っと心配そうにゆいと。ついつい気になってしまった他の子供たちが近づいてくる
いつもゆいを見守っている立場の自分が、まさか心配される側になり、しかもこんなに泣いてる姿を見られていると思うと、すごく恥ずかしくなってきてしまう。
「せんせー、おかあさんよんでもいいですか
ゆい、ちゃんとおかあさんにはなしたいんです」
ゆいは先生にそういうと、「わかったわ、来てもらいましょう」っと頷いて言うと「待っててね」っと言い、先生は1度職員室へと走っていった。
「ゆいちゃんのおにーさん?」っと、別の子供達が問いかけていると、「うん、そーだよ」っとゆいは俺の頭を撫でる。
すると他の子供達もゆいの真似をしては、「よしよし」っと頭をなで始めた。
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