■最近の子供
春休みが終わると俺達は2年生になり、すかさずクラスを確認する。
俺達は双子なために、クラスが一緒になることはないのだが、最近は仲が良い女子やら祐太やらいろいろできたのでやっぱり気になる瞬間ではある。
しかしクラスは複雑な結果だった。
「ゆう、また同じクラスだな
今度は、まぁ仲良くしよーぜ!」っと祐太が俺に声をかけてくる。
「やっとゆうともクラス一緒になった♪」っと尚樹もやってくる。
「今度はゆうくんとなんだ…よろしくね♪」っと愛梨も一緒。
おまけに静香も俺と一緒という始末で、ゆいと同じクラスなのは光虫と、俺と仲良くしてくれていた女子がちょこちょこゆいのクラスにいるだけだった。
「お兄ちゃん楽しそうなクラスじゃん!やったね♪」っとゆいは俺に言ってくれる。
「うん、でもゆいはあんまりいないね」
っと俺が複雑そうに言うと、「ちがうんだよお兄ちゃん!これは新しい友達を作るチャンスなんだよ♪」っと明るく言う。
まぁたしかにゆいなら新しい友達を作るのは得意だし、きっと大丈夫だろう…。
「そうか、じゃあゆいの新しい友達ができるの楽しみにしないとな…」っというと、「うん♪」っとゆいは明るく返事をした。
「残念、ゆーくんと一緒が良かったのにー!」っと、前回仲良くなった女子とはひとりもいっしょになれず、残念そうにしてくれる。
「昼休みとか来てくれたらあそぶよ…?」っとおれが問いかけてみると、「ほんとー?!絶対だよー?!」っと女子が騒いでは、何やら女子集団でキャーキャー言っている。
そんな光景を見てゆいは「あー、お兄ちゃんって実はモテモテキャラだったのか…知らなかった」っと、ゆいは目を細めては俺を見つめる。
「え?まさかー?小2でそんな感情、あるわけないでしょ?」っと俺が首をかしげると、「だんだんと人間はませてるっていうからね、お兄ちゃん気をつけた方がいいよ?」っと言っては、ゆいは「行こー?」っと光虫のところへ行ってはスタスタと教室にむかう。
人間ませてきてるかぁ…
そうなのかなぁ??
俺が頭の中で考えていると、祐太が俺のそばに来ては、「なぁ!」っと声をかけてくる。
「ど…どうしたの?」っと返すと、「ゆいって好きな奴いるのかな?」っと祐太が突然聞いてきては、俺は思わず頭を机に打ち付ける。
「そりゃあ俺に決まってるだろ♪」っと、目立ちたがり屋の尚樹が机のうえにドーンっと乗ると、「ナイナイ」っと俺は首を横に振る。
「それにゆいは俺にベッタリだから、まだ好きな人ができるわけがない、そう俺は信じている。」
っと間違えて脳内のセリフが口から出てきてしまう。
「ゆうー…、口に出てる」
「ああ恥ずかしい、出てる出てる
やっぱり安定のシスコンだな」
っと祐太と尚樹に聞かれてしまい、思わず恥ずかしがり屋だったのもあり、泣き出しそうになりながら「ぅわぁあぁあああっ」っと、俺は廊下へ走っていった。
小2でまさかみんなそんな…、そんな…感情が芽生えてるなんて?!
廊下を走っていると目の前で何やらゆいと6年生の男の先輩と話している。
俺は急ブレーキをかけて隠れると、思わずのぞき見をしてしまう。
「それじゃあ考えておいてね♪」っと先輩がゆいに紙を渡しながら言うと、「はい、明日にはお返事します♪」っとゆいは答え、紙を受け取っては、先輩と別れる。
なにを?!
なにを考えるんだ?!
お返事ってなんの?!
あ…考えてって言われたことか!!
え?!なにを考えるんだ?!
まさか告白?!
っと、今までに無いくらいすごく頭を回転させる。
しばらく考えたまま真っ白になっていると、「どうしたのお兄ちゃん?」っといつの間にかゆいが目の前にいて、俺は思わずビクッとする。
「いや…その…なんの話ししてたのかなって…」っと聞くと、「あ、これ委員会だよ♪手伝ってほしいって言われちゃって♪」っと、ヘラヘラしながら紙を見せる。
「はやくない?!あれ5年生からだよ?!」っと俺は叫ぶと、「ええ?そうなのぉ??なんでゆい手伝いに誘われたんだろう…」っと考える。
「そ…それよりさ…
ゆいってその…さっき最近の子はませてるってはなしあったけど、ゆいは好きな人いるわけじゃないよな??」っと動揺しながら聞くと、「う…うん なんで?」っと、動揺している俺を不思議そうに見つめる。
「そ…そうか…ならなにもないんだ…」っと俺が安心しながらいうと、「ゆいはお兄ちゃんがいるもんね♪」っとゆいは言い、一気に俺の胸がぶわぁあああっと暖かいものでいっぱいになった。
「そうか♪ありがとう♪」っと俺はいうと、幸せな表情のまま、教室へと帰ってきた。
「ゆう、どうした?いじめとか関係なしですごくキモイぞ?」っと祐太が俺を見てはつぶやくが俺は幸せなまま椅子に座ると、何事も無かったかのように本を開いた。
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