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■幸せな色
みんな部屋でワイワイとした後、早速温泉に入ろうと準備をはじめる。

「ゆうくんいっしょにはいろーね!」っとゆいは俺に飛びつくと、俺はピクッとしては「そうだね…」っと震えながら答えた。

「だめだめ!ゆうは父さんと入らないとダメだろ
男の子なんだから!」っと慌てて父は俺の手を握る。
俺は急に触られて、震えが止まらなくなる。

「えー?!なんでー!?」っとゆいは残念そうにする。

「ゆいちゃんしかたないわ、ゆうちゃんがこっちに来たらお父さんひとりになっちゃうし」っと、くすくすと母は笑うと、「そうだそうだ」っと父は言い、「それじゃー行くか」っと俺をそのまま連れてゆく。

男湯と女湯で別れると、俺は服を脱ぎ出す。
すると父は俺の体をふにふにとさわり「なんだろう…」っとつぶやくと、「ゆうってちょっと女っぽくなりそうな気がするな…」っと言い出し、俺は思わず変な視線で父を見る。

「いや、変な意味でも冗談でもないって!なんか他の子と比べるとそんな気がするんだよ!」っと父は慌てて言うと、そんな父を置いては俺はさっさと中に入った。

休日なので人は少し多めで、俺は反射的に1歩下がる。

父はそんな俺を通り過ぎては「大丈夫か?」っと心配そうにする。

俺はとりあえず人が少なくなるのを待って、更衣室に戻ると床に座り込んでしまう。

父が困ったようにしていると、「どうしたのー?」っと男の子の声が父に話しかける声がする。

「ちょっとうちの子が怯えちゃってこっちに来ないんだ…」っと説明すると、「わかった!俺が行ってくる!」っと、男の子がこっちに来る音がする。

俺はそれを聞きながらビクビクとしていると、「あれ?お前…」っと、向こうもびっくりしている声がする。

俺が恐る恐る振り向くと、なんの巡り合わせか、修斗が俺を見ては驚いている。

それに気づいて俺は更に怯えては更衣室から逃げ出そうとするが、「ちょっと待って!」っと修斗は俺の腕を掴んでは止める。

怯えてる俺に構わず修斗は「あのな…この間はごめん、あの時はちょっとパニックになってて…でもよくよく考えたらお前は妹を会わせてくれようとしてくれたイイヤツだもんな!」っと言い、俺はもう嫌われてないのがわかると安心しては、フッと逃げるのをやめて再び振り向いた。

そして俺の耳元に近づいては「あの時のこと…俺のお父さんには内緒な?」っとひそひそと伝え、俺も同様に内緒にしていたのでコクりと頷いた。

二人一緒に中に戻ってくると、「おお、さっそくゆうに友達か?凄いな」っと父がふたりを見ながらいう。
「名前、ゆうっていうんだ…?」っと修斗が俺に聞き、「うん…」っと俺は小さく返事をした。

「お父さん!この子俺の新しい友達!」っと、修斗は自分の父に声をかけながら俺に指を指した。

「はじめまして、どうも」っと親同士が挨拶をしてしゃべり出すと、「ゆう!むこういこ!お湯が出てるよー!」っと修斗が俺の手をつかんではお湯が流れている所へ連れてゆく。

はじめは修斗に対してビビっていた俺だが、だんだんと気が少し楽になってきた。
そういえば、自分のことを友達と言ってくれたのは尚樹以来無かった。

なんだか嬉しくなってしまったからだろうか。

「あのさ、実は俺、あそこの山に住んでたんだ
でもあの変な黒いもやもやが現れてから追い出されちゃって…今は違うところに住んでるんだ
ゆうはどうしてあそこに行こうと思ったの?」っと修斗が親と離れた後にあの時の場所の話しをしはじめる。

「俺は…あそこに住んでたから気になって、住んでたというか、産まれたってだけだけど…」っと俺が話すと、「そうか…、やっぱり思い入れがある人はみんな気になっちゃうんだね」っと、俺の話しを修斗は聞いてくれる。

「本当に産まれただけだよ…、すぐにここから逃げ出そうって話しになって…」っと俺が言うと、「逃げ出す…?」っと修斗は不思議そうな顔をする。

「うん…、こっから先は…、ちょっと言えないかな…」っと、さすがに"今までずっと殺されそうになっていた"なんて言えない上に理由がわからないので、これ以上は何も言わないようにする。

「そうか…、なんか深い事情があったんだな」っと、修斗も深く聞かないようにしてくれる。

俺が思うのもなんだが、修斗もけっこう小学生とは思えないくらいしっかりしてるなーっと思う。

「ねえ、そういえばゆうの髪って凄く真っピンクだよね、こんなに綺麗な髪の人初めて見たよー」っと引き続き修斗が言うと、「いや…」っと、俺はいきなりコンプレックスを突かれてしまい、この髪でいじめられてたことを思い出しては下を見てしまう。

修斗はそんな様子を見ては「え?どうしたの?」っと、きっと褒めてたつもりなのに落ち込まれてびっくりしたのかもしれない。

俺は落ち込んだまま「いや…、俺はこの色あまり好きじゃなくて…男なのに女みたいな色してて…みんなと一緒がいいよ…」っと言うと、「そうなの?」っと修斗が驚いたように言う。

「でもいいじゃん、俺も男だけどピンクめっちゃ好きだし!」っと修斗が言うと、ついつい「何で…?」っと問い返してしまう。

本当にこの色にはいい思い出がなく、ピンク色が正直自分は嫌いだった。

「ゆうはどう思ってるかはしらないけど…、色にはいろんな意味があるけど、全部プラスな面とマイナスな面があるんだよ」っと修斗は誰に教えてもらったのか自慢げに話をしだす。

俺は黙って話を聞いていると、「たとえば赤、プラスな面だと情熱とか言うけどマイナスな面は怒りとかそういうの。でもピンクは幸せって意味だけ、マイナスな面がないって言われてるんだよ。だから幸せ関連に色に使われるんだよ」っと話す。

「幸せ…?」っと再び問いてみると、「そうだよ、ゆうの髪の色は幸せな色なんだよ、だから自信もって♪」っと明るく修斗は言ってくれる。

幸せな色か、今までそんな事考えたことなかった。

今までずっと変な色で、この髪のせいでみんなに嫌われるってずっと思ってたけど、こんな俺の色でも好きって言ってくれる人はいる。

それがなんだかすごく、じわじわと胸に溢れるように嬉しくなった。

俺は湯船から出ると、小さく「ありがとう…」っといい、そのまま体を洗いに行った。

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