[携帯モード] [URL送信]
■はじめての家族旅行
いつの間にか2月になった。

俺達は休みの日に、なぜか温泉に行くことになった。
気の乗らない俺もゆいに無理矢理連れてこられ、みんなで車に乗っている。

長い走行を続けていると、「着いたぞ」っと父は車を止める。

やっとか…、っと思いゆいの方を見ると、すっかりゆいは車の中で眠っている。
ここまで来るのに疲れたのだろう。

「ゆいちゃん、着いたよ」っと俺はゆさゆさと起こすと、「ふぇ?…おんせん?!」っと、目が開いた瞬間、さっきまで寝ていたのが嘘のようにゆいはテンションを上げては車からおりる。

そして外を見てゆいは、「ねえ見てみて!雪がつもってるー!」っと楽しそうに外を走り回る。

「だめよゆいちゃん、転んじゃうわ」っと母ははしゃぐゆいの頭をポンポンとする。

「カメラ持ってきたんだ、一応写真撮るか」
っと父はカメラを持つ。
「とってとって!どんどんとって!」っとゆいは俺に抱きついてはピースする。

みんなはじめての家族旅行に浮かれている。

本当はずっと、みんなはこうして普通の家族のように遊びたかったのだろうか。

それなのに両親は俺を守るために今まで必死に我慢してくれてたのかもしれない。

それでもやっぱり生きるのが辛い。
ふたりはどうして俺なんかのために今まで我慢していたのだろう。

もちろん母は急に俺に何をするかわからないから怖いし、父は俺をどう思っているのかわかりづらく、ゆいは俺のこと好きなのだろうけど、1番巻き込んでもらいたくないので、距離を置いていた。

そんな考え込んでいる俺に構わず「じゃあ一回みんなでとるか!」っと父は、はじめての家族写真にワクワクしながらカメラを置くと、4人でパシャリと記念撮影をした。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!