■いざ閉鎖地帯へ
母が疲れて寝ている隙を見て、俺は久しぶりに外に出る。
まだ道は覚えてるだろうか。
あれからもう、7年経つ。
俺は貯金を使って、近くの駅に向かう。
人が多いところは苦手なのだが、もうこの時間帯は人が少なく、ちょっと気が楽だった。
俺は小さな体で切符を買って、なるべく人の目がつかないようにさっさとホームに向かっては電車に乗る。
そして、岐阜県で降りては今度はバスを探し始める。
俺はバス停でひとりちょこんとバスを待つ。
しばらくすると、「こんにちは!なんでこんな時間に子供がいるのかな??」っと声をかけられてびっくりするが、声の方向を恐る恐る見てみると、自分とそんなに変わらないくらいの男の子がやってきては隣に座ってくる。
俺は元々いじめられていたのもあり、同じくらいの男の子は苦手なのでついついビクビクと怯えてしまう。
「恥ずかしがり屋なの?まぁいいや、まだバス来ないししゃべろーよ!
俺は3年生だよ、修斗(しゅうと)って言うんだけど…しゅうって呼んでくれたらいいよっ
お前はなんて呼べばいい??」
っと、ただひたすら黙っている俺に問いかける。
相変わらず何もしゃべらない俺に「どれどれ」っと、俺のカパンやら靴やらを探るように見る。
「変だな、普通名前が書いてあるんだけど、君は書いてないんだね…」っと、残念そうにしている。
そして「どこに行くの??」っと休めず俺に話しかけてくる。
この男の子はどうやらゆいのように人としゃべるのが好きなのか、黙っていても勝手に喋ってくるタイプのようだ。
それでも黙っているとバスがやってくる。
俺は修斗から逃げるようにさっさとバスに乗ると、修斗は諦めたのか別の席に座る。
そしてしばらくして、降りたいところで降りようとすると修斗も同じ場所で降りようとする。
「え?君らここで降りるの?!
ここはもう閉鎖地帯くらいしかないよ?!」
っと運転手さんに驚くように声をかけられるが、「いえ、大丈夫です」っと俺はお金を入れてさっさと降り、後ろから修斗もニッコリしながらお金を入れてはさっさと降りてしまう。
バスは2人が降りるのを確認すると、ふたりを置いては走り去っていった。
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