■死ねない体
暗闇の生き地獄が終わってから、もう1週間以上はたっただろうか。
その自分の無残な生き方がずっと忘れられなくて怖くなった。
自分は食べ物がないとあんなふうになってしまうのか、っと知ってから人に近寄るのがすごく怖くなってしまう。
空腹にものすごく弱く、人が近寄ると"不思議な匂い"を感じて、苦しくなる。
また自分は人に噛み付いてしまうのではないか、っと思い、人に近づくことが出来なくなってしまった。
その後、しばらくすると、母にすごく謝られた。
母は、俺がストレスを感じたことに気づいて、人のいるところに行かせるのはまずいと思い、閉じ込めてしまったらしい。
もうすぐ俺は、周りには危険な存在になるという。
ストレスを感じるとそれが早まる可能性が高いため、人がいるところでは危ないという話らしい。
それでも流石に母がだんだんと信用出来なくなってしまった。
母は俺が大人しくなってから頭をなでたり話しかけたりたくさんしてくれるようになった。
嫌なことがあったら、すぐ話すようにも言ってくれた。
でも本当に母は俺を好きでいてくれているのか?
自分の子供として見てくれているのだろうか?
でもだんだん、そんなことどうでもよくなってきた。
そもそもどうしてこんなに母に怖がられているのだろう。
危ない存在になるって言われても、具体的にはどうなるのだろう?
こんな自分なんていっそ死んでしまった方がいいに違いない。
そういえば、5ヶ月も閉じ込められて、全然自分の体は死んではくれなかった。
死にたい、どうしたら死ねるんだろう。
っと、自分の腕をふっと見ると、いつの間にか傷はなくなっている。
だんだんとみんなと違う体になってゆく気がする。
しばらく心が死んでいると、なんとなくとった新聞が目に入る。
お山の感染症??
「ここってたしか…」
ふっとそれを見ては俺はあることを思い出す。
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