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■変わり果てた兄
おじさんは結局病院にいることになった。
命には関わらなく、大丈夫だったようだ。

それより、兄の体に対して医師はすごく不思議そうな顔をしていた。

傷が深い兄に入院するように言ったらしいのだが、兄は無言で去ってしまったらしい。

5ヶ月も閉じ込められてから、兄は一言もしゃべらなくなってしまった。

ゆいが話しかけても、まったくしゃべらない。
むしろゆいから遠ざかるように歩くようになってしまった。

「ごめんね…ゆいちゃんっ
私が曖昧なせいで…」
母が、すっかり変わり果てた兄としゃべれなくなってしまって寂しそうにしているゆいをぎゅっと抱きしめてくる。

「ううん…だいじょーぶだから!おかーさんもなにかじじょーがあるんだよね…?」
っとゆいは笑顔を作る。

そして久しぶりに兄がいるお部屋の中に入ろうと、扉を開けてみた。

あんなに血に染まった兄を見たばかりなので、ちょっと気まずいものがあった。

「お兄ちゃん…はいるね?」

っと、優しく声をかける。

すると兄は、ベットの中にこもっていた。

相当いろいろショックを受けてしまったのだろうと思った。
それでもゆいは謝らなきゃいけない、すぐに来るって言ったのに来れなかったこと…。


「お兄ちゃん、ごめんね…
たすけるのおそくなっちゃって…」

ゆいが声をかけてみるが、兄は全く反応がなかった。
やっぱりゆいが遅くなったのを怒っているのだろうか…?

それにどうしてあんなに怪我をしていたのだろう。両腕がすごく真っ赤だった。

「ねえ、ゆうくん
怪我治ったらまた遊ぼ…?」
っと、とにかく声をかけ続ける。

すると兄の体はピクリと動いた。

「ゆうくん…」
っとゆいが悲しそうにつぶやくと、兄はようやく体を起き上がらせた。

「ごめん…でてってくれるかな?
しばらくひとりにして」
っと兄は瞳を光らせながら言い、ゆいを追い出そうとする。

「わかったよ…」
っと、ゆいはつぶやくと。
とりあえずしばらくはひとりにしてあげることにした。

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