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■暗闇の生き地獄(R-18G注意)(END)
俺は、一体何をしたのだろう。

そう考えながら、ずっと俺は真っ暗の中に閉じこめられていた。

それでも父とゆいが来た時はすごく安心した。

するとまた明日も来てくれることになり、さらにホッとして、ずっと楽しみに待っていた。


それでも明日ってあとどのくらいなのだろう?
とりあえず眠ったら明日になっていないだろうか…。

外も見えない、時計もない、真っ暗の中にいるので時間が全くわからない、とりあえず1回、また1回と何回も寝て起きてを繰り返した。

それでもふたりは来なかった。


まだ明日になってないみたいだ。


そうおもい、お水を確かめる。
もう、少ししかない。
お菓子ももう残っていないし、お腹も空いた。

それにしても夏場の地下室は意外と暑い…。

床に寝そべると、ちょこちょこと虫が歩いている。


不衛生な地下室なので、どこから入ったのか、虫が結構歩いている。
上にはクモの巣がはってあり、虫がひっかかっている。

「そうか…、もう捕まって動けないんだな…
このままだと食べられちゃうし…可哀想だな…
でもおまえがいないとそいつも生きられないんだよ…」

っとひとりでボソリとつぶやく。

そして、俺もお腹空いたな、っと思う。


それからもなんども寝て起きてを繰り返す。

するとなんだかだんだんと地下室の気温が下がっていった。


なんだかおかしい…。


夏が終わった??

いや、それなら俺は流石に餓死しているはず…。


なのになんで…??


俺は、ひたすら考えながら床をずっと眺める。

あんなに沢山いた虫の数は少し減っている。


だめだ…、お腹空いてなんだか辛い…。
とにかくなにか食べ物が欲しい。
なんでもいい、なんでもいいから食べたい。

はじめはふたりを待っていたのだが、だんだんと空腹に耐えられずにそんな気持ちの方が強く、耐えれば耐えるほどエスカレートしていった。

俺は空腹の勢いで床に止まっていた虫を舌ですくいあげては食べてみる。

昔から食べている時は幸せでいっぱいだったが、空腹のせいかこんなものでもすごく心が満たされる。

もう一回、もう一回っと、目に入る生き物を食べていると、いつの間にかたくさんいたはずの虫はいなくなってしまった。

気がつけば地下室はすごく寒い、もう冬なのだろうか?

それならどうしてふたりは来ない…?

水もあれから飲んでないのにどうして自分の体は動いてるのだろう…。

いろんなことを考えながら寒さで体が縮こまる。

お腹は空いた。

とっても孤独だった。

自分はなんで生きているのだろう…。


何か食べたい…。

俺はお水のペットボトルや、お菓子の袋なども口に入れはじめた。

なんだか、自分が自分じゃなくなるようだった。

このまま、母や父やゆいの事も忘れてしまいそうで仕方なかった。

家族は俺のことを見捨てているのだろうか。

地下室にはもう、口に入れられるものはなくなってしまった。

それでも自分は生きている。
自分は一体何のために食べてるのだろう…??


そして何も食べられないまま、ひたすら寝て起きてを繰り返した。

ふと、眠りながら柔らかい感触がしたのでかぶりついてみる。

久しぶりに、すごく美味しい、と感じた。
そしてなんなのか目を開けると自分の腕が真っ赤に染まっていた。

かぶりついたのは自分の腕だった。


それでも"美味しい"と一度感じてしまったため、虜になっては再びかぶりついた。

それでもだんだん体の力が入らなくなっていく。
お腹が少し満たされると、少し我に帰り、腕の痛みに気付かされる。

さすがにもうやらないと決意するも、お腹が空くと耐えられずにもう片方の腕にかぶりついた。

もちろん気がつけば体中が血だらけで痛みで泣きながらひたすら空腹が来るのを待った。
お腹が空くと痛いのが弱まる…。
だんだんと空腹すらも愛しくなっていった。

ただひたすら生き地獄を繰り返している。

そんなある時だった。


扉ががちゃりと開いた。


久しぶりに見た光で俺は視界が何も見えなくなった。

そして同時に"美味しそうな匂い"がする。

俺は、フラフラと立ち上がってはそれに近づいた。
視界が真っ白で何も見えない。


そして俺はそれにかぶりつく。
するとそれは慌てて、俺を振り払おうとゴンゴンと叩いてくる。
それでも俺は噛み付き続けていた、そんな時だった。


「お兄ちゃん!!」


懐かしい声が聞こえた。


俺は思わず口を離した。


「救急車!!」
っともう一人、懐かしい声が叫ぶ。

だんだんと目が光になれてゆくと、久しぶりに見たおじさんの腕が噛みきられている。
それを見た父が慌てて地下室の外に向かって声を上げ、ゆいに至っては俺を見て、顔を真っ青にしている。

「なんで…」

自分がやったのかと、理解しても出来ずに声を少し上げた。

「お兄ちゃんきゅうきゅーしゃすぐくるからね!!」

慌てて俺に近づこうとするゆいを、父がパッと抑える。

それを見ながら俺は、体の痛みがだんだん強くなってはバタリと倒れた。

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