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■どうにもできない
ゆいは都会に出るとキョロキョロ見渡す。

人が多いため、探すのが大変だ。
それでもあの時、ここを通ったということは、きっとあの子の通学路なのかもしれない。

それでも必ずここにやってくるとは限らない。

ゆいはお兄ちゃんを出してあげたい。
そのためにはまず、どうして閉じ込められているのか知る必要がある。
今、兄のためにゆいにやれることはこれしかないのだ。

今までどうしようもできなかった、兄の件。
5ヶ月も経ってしまったが、こんなところにちょっとでもやれることがようやく見えた。

「あの!わたしににた、ツインテールの赤い茶色のかみの女の子、しりませんかー??」
っとひたすら知らない人に声をかける。

それでもやっぱり、みんな急いでるようで、ゆいのことを無視してしまう。

それでもゆいはあきらめない。

それからゆいは母にはバレないように、何度もでかけて毎日人がいっぱいいるところで声をかけ続けた。

その1週間後だった。

「おや? ピンク髪の妹ちゃんだね?
どうしたのかな??」

大人のおじさんが、わざわざゆいの近くまで来ては声をかけてきた、どうやらゆいのことを知っている人なようだ。

ゆいもどっかで見たことある人だ、けれど思い出せないのでとりあえずそのおじさんに助けを求めることにした。

「あのね、赤茶色いかみのけでゆいに似たツインテールの女の子をさがしてるのー!」
っとゆいが言うと、「なるほどっ…」っと、何かを思い出したようにどこか少し驚いたような顔をしてから考え始める。

ゆいが首をかしげていると、「はづきちゃんだね…、あの子はおじさんの知り合いなんだ。でも残念だったね、あの子東京に引越すからもう新幹線に乗っちゃうんじゃないかな。さっきおじさんが送ってったところだったからね。」
おじさんがそういうと、「とーきょー行きのしんかんせん?!?!」っとゆいは叫び、ダッシュで走っていった。
せっかく見つけた希望が、今消えようとしている。

駅に入ってはウロウロとする。
どこにもいない…。ということはもう中に?!

ゆいは改札口をくぐっては走り、ホームの中に入った。

「はづきちゃーん!!」

駅員さんに追いかけられながら長い長いホームを走り続ける。

すると、新幹線に乗ったばかりのはづきの姿が見える。

行っちゃう…行っちゃう!!

「はづきちゃん!!」
全力で声を上げながらゆいは手を挙げる。

すると、はづきは気づいたようで、びっくりしながら窓からゆいを眺めては、複雑そうな顔で手を振る。
そして新幹線は走り去ってしまった。


「そんな…」
立ち止まると、ゆいは駅員さんに保護された。

「だめだよ危ないよ」
っと駅員さんに改札口まで戻されては怒られる。
しばらくすると、「ごめんね、その子俺が見てたんだけど見失っちゃって」っと、さっきのおじさんがゆいのところにやって来ては抱き抱えた。

「わっ ちょっ?!」
ゆいがびっくりしていると、「帰ろうか!」っとそのまま駅の外におじさんに連れていかれてしまった。

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