■閉鎖された山
気がつけば、いつの間にか冬休みを迎えていた。
ゆいは、寒いのは苦手なので、こたつから動けなくなる。
けれどゆいがいる場所は日本の真ん中あたりなのであまり雪は降らず、暖かい場所だった。
それでも寒いのは苦手なので、ゆいはこたつに入ったままテレビをつけた。
どの番組もニュースになってしまっている。最近は本当にこの話題でテレビは忙しいようだ。
どんな話題かというと隣にある県の高い山のところで感染症のようなものが流行っているらしい。
しかし、テレビは感染したら一体どうなるのか、っという大事なところまでは公表できないようで、一体どうなるのか、全くわからない。
ただ、テレビには森に黒い霧のようなものができていて、本当にやばそうな感じはものすごく伝わってくる。
けれど、もともと山なので感染した人は少なく、感染率は低く、近づかない限りは大丈夫とのことで、今のところほかの地域に被害の心配は無いとのことのようだ。
けれど、ゆいが住んでる隣の県なので、この黒いのがこっちに来てしまわないか、少し不安な気もしてしまう。
そんなことを考えながらしばらくすると、母が私に近づいてきた。
「ゆいちゃん、なんか愛梨ちゃん達が外で呼んでるんだけど、いけるかな??」っと声をかけてきた。
「あいりちゃんが?」っとゆいは、母に言われ、寒さをこらえて、こたつから出ると玄関に向い外に出た。
「こんちはー、ゆいちゃん」
っと愛梨と静香が待っていた。
「どうしたの?」
っと聞くと、愛梨は「ふふっ」っと笑い、ねー、ちょっとテレビのあそこ気にならない??
っと言ってきた。
「いや?ゆいはべつに?」っと言うと、再び「ふふっ」っと愛梨は笑うと「これを見ても…?」っと写真を見せる。
そこにはあの黒い霧の森の中に、かすかに人影が見える写真だった。
「それがどうかしたの?」っと聞くと、「じつはこれを大きくしたのがあるんだよねー」っと愛梨はいうと、人影を拡大した写真を見せてきた。
すると少しピンク色がぼやけて見える。
「これって…」っとゆいが呟くと、「そうなんだよー、あそこにはゆいちゃんとおなじかみ色をした人がかくりされてるにちがいないよ!」っと呟いた。
「けど…お母さんはゆいたちいがいにピンクのかみをしてるしんせきはいないって言ってるよ…?
みんなしんじゃったんだってー」っと言うと、「そうなの?!」っと驚いた。
そして「もしかしたらお兄さんのなぞをとけるカギになるかなって思ったんだけど…」っと悔しそうに呟いた。
お兄ちゃんの謎か…、そういえば閉じ込められたちゃんとした理由がわからないままだ。
いじめられてることは元の理由っていうより、追い込みって感じだったし…。
恐ろしいことが起きるってことしか聞かされてなかった。
でも母に聞いても教えてくれないしなぁ…。
「そういえばこれ、見つけたのゆうたくんなんだよ」
っと愛梨が言うと、思わず私は「え?!?」っと叫んでしまう。
「あの子はちょっとあの山に思い入れがあったみたいでね…それで人ををかくだいしたら見つけたみたいなんだ」っと愛梨が詳しく説明する。
あの子がそんなことに気づいて、しかもゆいの友達の愛梨に報告するなんて…いじめっ子がどこの風の吹き回しなのだろう…。
は?!…まさか…。
「ゆいはしんじないぞ!」あることを思い、ゆいは叫んだ。
愛梨は「え?」っと首をかしげる。
「きっとだまそうとしてるんだよーそれであぶないところに行かせてゆいのこと!」っと言うと、愛梨は「うーん」っと考える。
「あの子もちょっとふくざつなかてーだから、やりかねないような気はするけど…」っと愛梨は写真を見つめては言う。
「ふくざつ?」っとゆいは聞くと、「うん、あの子体にいっつもアザできてるでしょ?
父のほうが血がつながってないってきいたし、愛梨はあの子はやばいかてーだと思うねっ」っと愛梨は言う。
言われてみえばそういえば…。
初めて見た時は気づかなかったけど、説得しようとしてしつこく追い回してた時とかはアザとか絆創膏とかやたら多いなーっとは思ったけど、やんちゃなんだからかと、ゆいはずっと思ってた。
祐太くんかぁ…。
いや、でも、実際はどうなんだろう。
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