■バラバラになった家族
地下室から出ては、「さぁ、部屋に戻るか」っと父は言う。
ゆいは、地下を振り返りながら頷くと、兄の部屋からでるため、扉をがちゃりと開けた。
すると。
「なにしてたの?」
っと、思わず心臓が止まりそうな声がする。
いつの間にか母が兄の部屋の前の廊下にたっていた。
思わず父は少しだけ体を1歩引いてしまう。
「返して」っと母は言うと、鍵を持っている父に手を差し出した。
「ほんとうにこれでいいのか!?たとえ何か理由があって餓死しないんだとしても、実際は本当にゆうは辛そうだったんだぞ?!」っと父は強く説得をしようとする。
しかし母は、何度も「返して」としか言わない。
父は仕方なく、母に鍵を返してしまった。
「ぱぱ…」っとゆいが父に呟くと、「説得は難しそうだ…」っと父は、廊下から姿を消そうとする母を見ながら悔しそうに呟いた。
「おねがい、がんばって…ぱぱ」っとゆいが父に言う。
父は「そうだな、諦めたらダメだな」っと再び母を追いかけた。
追いかけながら父は叫んだ。
「なぁ!はじめに言ってたじゃないか!
ゆうと共存できるのをみんなに証明したいって…そのために今まで守ってきたんじゃないのか?!
こっからが本番じゃなかったのか?!」
っと必死に母に問いかけた。
父が母の肩に触れると。
母はようやく口を開いた。
「子供達にあの子はいじめられてるのよ?!
このままじゃどちらにせよすぐに…大変なことになってしまうわ!!
それなら、そうなる前に閉じ込めてしまうしかないのよ!!」
っと怒鳴ると。
「やっぱり私…大変なことしちゃったのかしら…
子供を殺さなくて一体何が悪いのよっ
だいたいなんであんな子私から生まれてくるの…そんなの絶対ありえないのに…」
っと、しゃがんで頭を抑えては考えては母はひたすら1人でつぶやくほど不安定になってしまった。
そんな母を見て父は「ごめん、俺が悪かったから…」っとひとまず母を慰めるように連れ、再び部屋に入っていった。
家族がバラバラになる。
っとゆいは見つめながら不安になってしまう。
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