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■成長するほど
3人で席に座ると「ゆいはおむらいすー!」っと大きな声でいう。
「こらこら、ゆいはもう晩御飯食べたんだろ…?」と父が聞くと、「そうだよ!だからおにーちゃんにもってかえるのー!」っと言うと、父は「そうか、わかった」と言ってくれた。

「あの、お兄さんは閉じ込められているのに…
こんなにのんびりしていて大丈夫なんですか?」っと先生は心配そうに聞くと、「ええ、実は…」っとつぶやき周りをキョロキョロすると、「別の理由もあるんですけど、一応ゆいに聞いて知ってから母には内緒で、夜中にこっそりコンビニで急いで買ったやつですけど、お水と、食料とお菓子は兄のところに置いたんですよ。
だから最悪な事態は無いと思います、けど出してやるのはちょっと訳があって難しいんですよ」っと父が言う。

「どうして出してあげれないんですか?あの子はすごくいい子じゃないですか?」っと先生が問うと、「俺も実は聞いただけで実際はよくわからなくてあんまり実感がないんですが、まず母はものすごくゆうを怖がっています。理由は、ゆうを人間社会に置くと恐ろしいことが起こると、母がずっと言っていました。
だから母の身内の人たちからずっと命を狙われながら、隠れてそれでも大切に我が子には自由になってもらいたいと、こうして外には出していたんです。」っと父は語る。

「人間社会にいるといけない人間なんているんですか?」っと先生は聞くと「俺も何が起こるかまで詳しくはわからない、なにせ母の遺伝の関係が問題らしくて…。
でも本当にゆうを探しに来ては本気で殺しにかかってくるやつらは本当にいました、でも今は母の言ったとおり、7歳になるとひとまず奴らは来なくなりました。」っと父は語る。

「7歳になったら?」
先生の質問は止まらない。

ゆいもそれはすごく気になった。

そういえばあのお母さんとお兄ちゃんに似ている女の子も、7歳になるまえに兄は殺すべきと言っていた。

それと関係があるのだろうか?


「俺の予測なんですが、もしかしたら…」っと父は一旦止める。
「もしかしたらなんですか?」っと先生は聞くと、父は、うーんと悩み、「こんなことあるかわからないけど…」っとつぶやくと、父は「7歳になったら"殺したくても殺せない"んじゃないんでしょうか…。」っと言う。

「どういうことですか?」っと先生が問うと、父はお水を飲む。


「実は、7歳になったばかりの日、ゆうは何発か銃で撃たれてます。」

っと父がつぶやくと先生は「え??!」っとものすごく驚いている。

「俺もゆうとは少し距離を置いていたところがあったにもしろ、さすがに我が子を失うと思って盾になろうと思いました。
この子を助けて、早く病院に連れていかないとと、けれどゆうは普通に立ちました、まるで悪魔みたいに怖い顔をして、銃を撃った男達を追い払いました。
俺はきにしない振りをしたけど、正直びっくりした。
そしてその傷を見た母も、そんなに焦ってはなく病院に行こうとは言わなかった。

たしかにもともと普通な子ではなかったけれど、あんだけ撃たれても立ち上がって、喋って、その後も元気よく生きてるんです。

だから、7歳になれば襲われなくなるという母の言葉は、"殺そうとしても無駄だから"ではないのかとその時に思ったんです。」

長々とした話に、ゆいはちんぷんかんぷんになる。

そして先生は沈黙して考える、本当にそんなことがあるのだろうかと。

「元々ヒステリックな母ですが、ここまでゆうを守ってきた母です。
怖がってはいますが、ゆうを殺すことはないと思います。
だからこの話しが本当ならご飯すら与えないのも"子供が死んでしまう"という恐怖心が見当たらないところから、余計に納得がいくんです。
俺はかわいそうに感じて、ご飯くらいは置いていきますが…」っと父は言った後、「だからその…、母のことは悪いふうに思わないでやってください」っと、お願いするように頭を下げる。


先生は信じられないように、それでも考えては「ええ、でもやっぱり学校に行かせないと周りに良くないイメージを抱かれるのは間違いないし、もしかしたら虐待だって訴えてくる方もいるかもしれないし…、やっぱり外には出さないのはまずいと思うの…」
っと、先生が言うと、「そうですよね…」っと父も言う。

そして父は、うーんと考えると。「とりあえず9歳くらいまでは母にゆうをまだ出してやれないか聞いてみます」と言った。

「9歳?誕生日のたびに何かあるんですか?」
っと先生が聞くと「はい、8つになったところから危険になり人がいるところでは危ないと、9つになると閉じ込めないといけないと、10つになると人が目に入るだけで危ないと、11つになるともうどうしようもなくなると聞いてます」っと父が言う。


難しいはなしにゆいは横から耳を傾けているが何を言っているのかわからない。

けれど、これからお兄ちゃんはどんどん変わってしまうということなのだろうか。

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