■私とお兄ちゃん 今日から小学一年生、私は期待を胸に膨らませながらランドセルを背負い、双子の兄の部屋へ押しかけてはまだ眠っているお兄ちゃんの体へ一気にドンとダイブする。 「うわっ?!」っと、兄はもちろん突然のことすぎて驚き、面白い悲鳴を上げてくれる。 「おはよぉうおにいたん♪あちゃだよー!」 私はポンポンと、兄の体を叩く。急げと言わんばかりにとにかく叩き続けた。すると兄は眠そうに時計を見ては「まだ5時だよ?寝かせてよー」っと再び布団の中に潜る。 「だめー!いくのー!」 学校が楽しみで仕方の無い私はランドセルを背負ったまま、兄の布団にそのまま潜り込んだ。 「ちょっ…、もう…ゆいちゃんってばー」 兄は諦めてむくりと起き上がるとあくびをしては、お布団からでる。 基本的に私は兄に負けたことがない、兄自身も優しくゆいに甘いのでこんなに無理矢理なわがままで聞いてくれる、すごいお兄ちゃんだ! 「仕方ないなー、でもゆいちゃん? 今から学校に行くのは早すぎだからさすがにちゃんとした時間に行こうね?俺も一緒に起きてるから」 兄はその場でパジャマから着替えながら言うと、私は「うん♪」っと返事をして抱きしめた。 「おにいたんおにいたんだいすきー♪」「ちょっまだズボン履いてなっ…うわっ!」着替え途中の兄と一緒に2人でそのままドシンッ!と倒れる。 「ゆいちゃん…くるしい…」 完全に私に踏み倒された兄を見ても、ゆいは全く気にしないのだ♪ というもの、兄はもちろんまだ眠そうに部屋でうとうととしている。 「ゆーくんゆーくん!みてみてにあうぅ??」 そんな兄にお構い無しに、私はゆうくんの黒いランドセルを背負っては再び兄の体を叩き続けてみる。 「うん、似合う似合う」兄はひたすら眠そうに、問いに答えるが、なんだか適当な言い方なようで、思わず私はむっとしてしまう。 「もー!ほんとうなの??」 私はちょっと怒るが、ふっと思いつき、今にも寝そうなお兄ちゃんの背中に自分の赤いランドセルを背負わせた。すると兄は、はっとなりびっくりして「ゆいちゃーん!」っと叫び出した。 「わーい!しゅごくにあってるー!ゆーくんおんなのこみたいだったからちょぅーどいいよー!」くすくすと笑っている私に、兄は思わず「このこのー!」っとこちょこちょとゆいの体をくすぐり始めた。 「あはははは!!だめー!」ゆいはすかさずお兄ちゃんの頭をゴンッと殴ると兄は痛そうに頭を抑えて転がった。 "えへへ、今度も私の勝ちだ!" っと自信満々な顔をしていると、兄は「くっそー…ゆいちゃん強いよー」っと泣きそうな顔をしている。 「あわわっ、ごめんね?ないちゃった?」 私は兄の頭をなでると、兄は顔を横にふるが、明らかに少し、目に涙が浮かんでいる。 「よしよし、ちょれじゃーゆいがいたいのとばしてあげるー」っと私は言うと、兄に「いたいいたいのとんでけー!」っと頭をなでながら叫ぶ。 すると兄はくすくすと笑い始めて、「ありがとう、ゆいちゃん」っと笑顔でお礼を言った。 それからしばらくすると、「ゆいちゃん!やばい!やばいよ!」っと兄の声が響いた。 どうやら私はいつの間にか兄のベットで寝ていたようで、むにゃむにゃとゆっくり目を覚ます。 「なぁにぃ??」私は目をこすりながら起きあがると、兄は時計を指さし「もう行かないと分団遅れちゃう!」と叫ぶ。 私はびっくりして急いで部屋に出て廊下を走ると「まま!がっこーいってくるー!」と叫んだ。 「あっ、まって! ご飯食べてないじゃない!」 っと後から母が現れては、私の手におにぎりを持たせた。 「わー!ままありがとー!」 私はお礼を言うと、兄の手をつないでは楽しみな学校へゆくため集合場所に走っていった。 [次へ#] [戻る] |