■突然現れた者達 結局車に乗ってしまった俺は、向こうから話してくれるのを待つ。 元々人見知りな俺は、自分から話しかけるのがどうしても苦手で話しを切り出すことが出来ない。 そして車はどこに向かうかわからないが走り出す。 「ゆうくん、お腹は空かないかい?」 おじさんは、助手席にいる俺に語りかける。 「もうすぐ晩御飯だから空くけど…、大丈夫です」 俺は外を見ながら問いかけに答える。 もう6月なので外はまだ明るい。 「おそらくゆうくんも食いしん坊だったりするのかなぁ…うちの親族たちは食いしん坊が多いからねー おじさんも食いしん坊でこのお腹さ!」 おじさんはポンポンと自分のお腹を叩く。 たしかに俺も食欲が旺盛だ。 この人の的確な言葉で、だんだんと本当に親戚だと、さすがの俺もしんじてゆく。 「そうだね、それじゃあ…この辺にしようか」 おじさんは人気がないところに止める。 「あ、はい…。」 俺はシートベルトを外す。 「うーん、どっから話そうかなぁ…。君のお母さんのこと…。」 おじさんはうーんっと考えると、とっさに何かに気づいたように周りを警戒する。 俺はどうしたのかわからず首をかしげていると、おじさんは急いで車から降りては、俺を車から下ろして抱き抱え、建物の隙間に逃げ込んだ。 「まずい…まさかもう見つかっていたとは…」 様子がおかしいおじさんに抱き抱えられ、俺は「どうしたの?」っと、問いかけると、"静かに"っと言わんばかりに人差し指を口の前に出した。 俺はわけもわからずおじさんに言われた通りに黙っていると、変な男達が周りをウロウロとしている。 「この車じゃなかったか?」 「逃げられたかっ」 などなど話していて、男達はどうやら俺達を追いかけてきた様子。 「いいか?あの人たちに捕まったら俺と一緒にお前も終わりだ あの人たちにお前の家がバレないように慎重に帰るんだ」 そういうとおじさんはケータイを取り出し、誰かにメールを送っている。 「おじさん…何がなんだかわからないよ…」 俺は不安そうに小さな声で言うと、おじさんはメールを送り終わったのか「よしっ」と言うと、反対側の道から俺の頭に服を被せて、そのまま俺を抱き連れて走りはじめた。 しばらく走っていると、俺のものすごく馴染み深い車が待っていた。 おじさんはその待っている車の元へはしると、息を切らしながら車の扉を開けた。 「ゆうくん!外に出たらダメって言ったでしょ!」 待っていたのは俺の母だった。 今までにないくらいすごく怒っている様子。 俺は思わず「ごめんなさい…」っとびくびくしてしまう。 「まぁまぁ、俺が見つけたんだから そんなことより運転は変わるよ」 おじさんは、運転席に乗ると、母も俺を連れては助手席に座った。 「よし、この車は向こうも知らないだろうし向こうも気づいてないからもう大丈夫だ」 おじさんはそれでも少し警戒しながらも、俺達の家へ向かって車を走らせる。 そして数分がたって車は無事に家に到着する。 「ゆうくん、あなたは先に家に入ってなさい」 お母さんが俺に言うと、俺はこくりと頷く。 "あの人たちはだれなのか?" "どうして2人は逃げているのだろうか" "そもそも母は何を隠しているのか?" 結局疑問は何も解決できないまま、俺は家の中へ入っていった。 でもひとつ気づいたことは。 もし"俺が家からでた"ことで、"あの人たちに命を狙われている"だとしたら、それは間違いなく男達が探していたのはおじさんなのではなく、俺なのだろうと。 [*前へ][次へ#] [戻る] |