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■桃咲兄妹
あるところに、もうすぐ子供が生まれる夫婦がいた。
夫婦はもちろん子供に会える日が楽しみで楽しみで、胸がいっぱいでしかたがなかった。


"名前なににする?"

"どんな子になるのかな?"

"幸せにしてあげたい"


けれども、この夫婦にはちょっと変わった不安もあった。




"この子は果たして、この世界に受け入れてもらえる姿であるのだろうか"と






「いけない!もうすぐ学校に行く時間よ!」

慌てた様子の母の声が部屋に響いた。

この一家には、子供が二人いる。
小学1年生になったばかりの双子で、兄の"ゆう"と、妹の"ゆい"。
それと父もいるので4人暮らしで住んでいた。
みんなとっても仲良しで暖かい家族です。

兄のゆうは学校の支度も終わり、ご飯も食べ終え、大好きな読書をしながら妹のゆいがくるのを待っているのに対し。一方、妹のゆいは朝が苦手で未だにすやすやとベットの上で寝ているのであった。

「俺…起こしに行くよ?」
本を起き、小学生になりたてとは思えない素振りで未だに起きてこない妹に気付き慌てている母を心配してゆうは母に近寄った。
「それじゃあ…お願いしようかしら?」
母はゆうに妹を任せると、ゆうは「うん!」と返事をした後に廊下をスタスタと歩き妹の部屋へ足を運んだ。
部屋の扉を開け、ゆうは眠っているゆいに近寄ると、ゆさゆさと体を揺らしながら声をかけた。

「ゆいちゃん!起きて!
学校遅れちゃう!」
必死に声をかけるが、ゆいはまったく起きる様子が無く、むしろ寝返りをうちながら兄を拒むように布団に潜る始末である。
「むむむ…起きない…」
ゆうは起きない妹を見て悩んでいるととっさに何かをひらめいた。

"これで起きるかわからないけど、やってみよう!"

とりあえず、1度ゆうは母のところへ戻ってくると母は、「どう?ゆいちゃん起きた??」と心配そうに聞いてくる。
それに対しゆうは首を横にふる。
「まだだよー、それよりお母さん
今日ご飯にあったミニトマトってまだあるかな?」
「あるけど…何に使うの?」
「ゆいちゃんを起こすためだよー」
母は疑問に思いながらもトマトを1つ洗い、ゆうの小さな手にミニトマトを乗せる。
「それじゃーよろしくね」
ミニトマトを手に取るとゆうは笑顔で再び「うん!」と返事をして、妹の元へ再チャレンジするために向かった。


妹のゆいは相変わらずおきる様子はなく、口をポカンと開けながらすやすやと眠っている。
しかし、ゆうはチャンスと言わんばかりに開いたゆいのお口にミニトマトを入れた。

ゆいはびっくりして、「うや?!」っと叫びながら起き上がると、モグモグと食べだし幸せそうな顔をしては、ゆうのほうを向いた。
実はゆいはトマトが大好物なのである。

そのゆいの様子を見ていたゆうはついついクスクスと静かに笑ってしまう。
それを見ていたゆいも、"えへへっ"とつられ笑いをしては、元気よく「おはよー!おにぃたん!」と叫び兄に抱きついた。

「あ…熱いよ…
夏なのに昔からゆいちゃんは凄く抱きついてくるよね…」
っと言いながらもゆうも、ちょっとだけくっつき返してみたりする。


俺達…。
"ずっと一緒。いつまでも一緒。
とっても仲良しの双子。

それだけでずっと幸せになれる"そう…思っていたんだ。

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あきゅろす。
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