闇夜の月
5
「隣国の王太子…?」
寝台から起きて私はユキナを正面から見た。
多分まぬけな顔をしていることだろう。
「はい、そうです」
「…それ、本当?」
嘘であってほしい…。
しかし、その願いは無情にも崩れた。
「何で、私がサリア様に嘘を言わなければならないんですか。そもそも、このような内容の話を嘘です、なんて言えるわけがありませんよ」
ユキナの表情が少し曇った。
嘘なんてつくもんですか、って顔をしている。
──やっぱり…
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