闇夜の月
20
………………
ガチャ
「――――んですよ」
「……そうか」
「失礼いたします」
「おやサリア、ようやく来たかね」
なにやら話しをしていたようだが、エドモンドが部屋に入ってきたサリアの声に気付いて扉に目を向けた。
「遅れて申し訳ありません、お父様」
「いや、それより…サリアこちらへ…」
はい、と返事してサリアはエドモンドが座っている椅子の隣りの椅子までいった。
「初めまして、お初お目にかかります。サリア・マキルナ=カロリアと申します。この度は、遠路はるばるおいで下さりましたのに遅れてしまい申し訳ありません」
サリアが頭を下げて謝ると、卓子の向かい側に座っていた人物がそんなにお気になさらずに、と言って立ち上がった。
「こちらこそ初めまして、ディシェル・アラルト=サウテと申します」
凛とした男性特有の低い声がサリアの耳に届く。
「どうぞ、お顔を上げてください」
未だ頭を下げたままでいるサリアに声を掛けると、サリアは、はいと返事をすると頭をそっとあげようとした…が、途中でピタッとサリアの動きが止まる。
──あ、れ…?そういえば、この服装…どっかで見たことある…?
今まで相手の足元を見ていたサリアは、ふとそんなことを思った。
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