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闇夜の月
19

………………


バタンッ


扉が閉まるとなんとなく暗くなった感じがした。


明かり取りの為の窓はないが、実際には明かりが点いているのでそんなには暗くはない。


でも、サリアにとっては、まだ会ったことのない男の人。


しかも、今日知らされたばっかりの相手に会うため暗くなる。


ここに来る途中も足が重たかったサリアにとって、そう思うのは当たり前だった。


それに、サリアはここに入るのが初めてだった。


元々他国の来賓を迎える為にある部屋なので、兄のスキルトは父に付いて入ることがあったが、サリアには用がなかった為入ることがなかった。


…………


前を向くとわりとシンプルな感じの廊下みたいで壁な絵画が飾ってあるだけで、数メートル先には先ほどと同じ様な扉があった。


足を進めるとすぐに扉の前まで着いた。


まじまじと目の前にある扉を見る。


──この扉の先にいるんだ…。


会ったことの無い相手に言いようのない不安がよぎる。


取っ手に目線を移した。


先ほどの扉と違う点があるとしたら、取っ手だろうか。


外の取っ手は銀色だったが、目の前にある扉の取っ手は金色だった。


サリアは、ふぅ…と息を吐いてその金色の取っ手に手を掛けた。





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