闇夜の月
16
………………
自分の部屋に連れて行かれて入るとすぐさま着替えさせられた。
「こんな服似合わないって!」
今自分が着ている服、無理やり着せられた服は、薄い青を基調としたドレスで白くてふわふわしたものが胸元の周りをぐるっと一周まわっていた。
おまけにその胸元はというと、いつも着ている服と違ってひらいていた。
なんとも似合わないと思う。
今すぐ脱いでしまいたい。
「いいえ、よくお似合いでございますよ。自信を持ってくださいませ。それに、嫌とおっしゃられても陛下のご命令でございますので我慢なさってくださいませ」
サリアの心を読んだのかユキナが釘をさした。
まったく、お父様ときたら何でこのドレスじゃないといけないのよ…。
「さ、あとは髪を整えたらおしまいです」
ユキナはそう言うと、今まで結わかれていた髪をといた。
サリアの長い金色の髪の毛が腰近くまで広がる。
いつもなら、めんどくさいからと自分で結わいていた為後頭部の真ん中辺りで適当にひとつ結びをしていたが、仕上がりを鏡で見てみるとさっきまで真ん中辺りで結わかれていた髪は、今は頭の上の方でひとつ結びにされており(もちろん、自分で結わくより綺麗)、いつもの様にそのまま馬の尻尾の如く垂れ下がってはいなく結び目から毛先まで緩やかなウェーブがかかっていた。
「なんか、自分じゃないみたい…」
これがサリアの正直な感想だった。
「そうですね、いつもはこの様な服を用意しても着てくださらないですし…。髪型も…」
「…わかった、ユキナの言いたいことはわかったから」
…それ以上言わなくていい…。
「では、着てくださいますか?」
にっこりと、ユキナが微笑む。
「いや…それは、わかんないわ」
サリアはその言葉に苦笑いで返した。
「はぁ…」
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